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13:(今晩だけ…甘えてもいい?)

お粥を保存してから部屋に戻っていた僕はベッドに寝転がっていた。隣では愛チャンが寝てる。大した風邪じゃないみたいだけど、少し気がかりだった。


暫くそのままで、目を閉じて寝る体勢に入っていたら、隣の部屋から咳き込む音が響いてきて。


「愛チャン…?」


それが直ぐに彼女のものだと分かると、部屋を出て隣の部屋に駆け込んだ。




***

「愛チャン、大丈夫?」


「ケホッ、コホッっはあ、はっ…うっ」


「愛チャン」


部屋に入ると、案の定、咳き込んでいる彼女がいて、その咳込み方は尋常じゃなかった。呼吸困難になってる。


ベッドに腰掛けると、そっと愛チャンの肩を抱いた。


「っゲホッケホッ…っ」


背中を撫でてやるも、一向に咳が止まらない。このままだと、拙いな。


そんな時、部屋のドアを開けっ放しにしていたせいで音が丸聞こえになっていたのか、部屋に入ってきた二人。


「愛!」


「!…急にどうしたんですか」


慌てる綱吉君に、目を丸くしてる骸君。それ、僕の台詞なんだけどな。


「机っゲホッ、ケホッ、引き出しにっケホッっ──…」


「これ?」


言われて直ぐに、机の引き出しから、小型の吸入器みたいなモノを引っ張り出すと、彼女に見せる。


彼女は直ぐにそれを僕から奪い取り、口に含んで息を整えていた。この様子からして、こうなるのは初めてじゃなさそうだね。


「はあ、はあっ…」


暫く、ぜえぜえ繰り返していたけど、直ぐに治まったみたいで呼吸が安定した。


「…ありがとう、ございます」


「もう平気?」


「はい…」


「そう、じゃあゆっくり休むといいよ」


僕がそう言って、頭を撫でてから二人の方に向かうと、二人も安心したように、ホッとしていた。


















「待って」


部屋を出ようとした僕らを呼び止めた愛チャンに、僕らは一斉に振り返る。


「あの…、えっと」


呼び止められた僕らより挙動不審になってる彼女につい笑みがこぼれてしまった。今から彼女が何を言おうとしているのかが何となく分かったから…かな。


「今晩だけ…傍にいて下さいっ」


クッションを抱きしめて、頬を紅潮させ、頼む愛に三人は顔を見合わせる。

そして────…、
少しずつ、四人の絆は確かなモノに変わっていく──…。




....
(仕方ないですね)
(愛チャンの頼みだし)
(お、俺でよかったら喜んでっ)
(!…ありがとうっ)


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