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12:(君の言葉が引っかかる)

白蘭に言われて裏口から人目に付かないように、買い物に出かけた俺が帰ってきたら、二人の間には妙な空気が流れていた。


骸は何だか浮かない顔をしてるし、白蘭は上の空って感じで。そういえば…朝、二人が言ってた監視役みたいな人たち、何か数が多い気がするな。


「あの…」


「ん?」


「俺、今出かけたとき…チンピラみたいのに絡まれて愛の事聞かれたんですよ…」


「!…そう」


「も、もちろん、知らないって言いましたけどっ」


目つきが変わった彼に、慌ててそう伝えると笑顔が返ってきた。


何か、愛と暮らしはじめてそんなに経ってないはずなのに変わったな…。もしかしたらあっちに戻ったとき、ミレフィオーレとボンゴレは争わなくて済むかもしれないなんて…。


そうなるといいな…。




***

出来上がったお粥を愛の部屋に持って行った俺だけど、愛は、布団にくるまってぐっすり眠っていた。


「今は寝かしておこう」


「あ、うん…」


後ろから顔を出した白蘭がそう言った為、俺は手にしていたお粥を下げるべく愛に背を向ける。


「…パパ──…」


「え?」


白蘭は先に戻ってたから、その小さな寝言は俺にしか聞こえてない。


「パパっ…助けて」


「愛…」


お粥を手にしたまま、振り返って愛の名前を呟いてみたけど、愛は涙を流したまま布団に潜りこんだ。


暫くして寝息が聞こえてきたのを確認すると、そっと部屋を後にした。


何でだろ…、
何か引っかかる。


愛が俺たちの同居を認めたとき、多額の金額を引き落としたんだ。だけど、愛自身はそのお金は使いたくないようだった。それが何でかは分からないけど。


愛の家庭事情はきっと複雑なんだと思う…。それに俺たちは首を突っ込んじゃいけない。


ずっと思っていたはずなのに…、この間、俺は口を滑らせて愛に聞いちゃいけない事を聞いたんだ。


「綱吉君、お粥…」


「あ、ああっはい!」


一人、考え事をしながら歩いていたからお粥を持ったままキッチンから離れた所に来ていた。


そんな俺に、咎めるわけではなく少し不思議そうに話しかけてきた白蘭に慌ててお粥を渡した。


「何かありましたか?」


「え?」


白蘭が自室に戻ったのを確認してから俺に話しかけてきた骸は、さっきまでの浮かない顔じゃなくて、いつも通りの骸に戻っていた。


「…愛、家族と何があったんでしょうね」


「骸…」


もしかして骸も心配してるのかな…、愛のこと。


「あの年で一人暮らしは珍しくはないですが…、凄く寂しそうに見えますから」


「あ、うん…」


時々見せる寂しい笑顔は、家族と離れて暮らしてる寂しさだと思う。けど、愛は寂しいとは口にしないし、態度にも示さない。


「だから子供だと言っいてるのに…」


骸がはあ、と大きく溜息をついたその時、部屋に戻っていた白蘭が出てきた。


「「?」」


二人して首を傾げていると、白蘭はそのまま愛の部屋に駆け込んだ。


え───…?




....
(俺の頭を過ぎったのは)
(さっきの涙を流した愛の顔)


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