あたしには、彼らと深く関われない理由が一つ合った。 「…」 知られたくない過去──…。そんなの骸さんが一番分かってくれるよね?あんな過去を背負ってる貴方なら分かるでしょ? 「あんな冷たくしちゃってどうしたの」 そんな事を考えながらリビングを通って部屋に帰ろうとしたあたしを引き止めたのは白蘭さん。壁により掛かっていた彼は、体を離して、あたしに笑いかける。 「白蘭さん…」 「そんなんじゃ風邪治らないよ」 か、関係ないし。 あたしがボーっと白蘭さんを見つめていると、ニコッと笑って返された。 「さ、横になっててもらおうかな」 「…別に怠くないし…少し一人にし─?!」 「意地ばかり張ってないで、寝てなさい」 「!やだ、下ろしてよ!」 一人にしてほしいと言おうと口を開いたら急に体が浮いた。 しかも、抱き上げたのは目の前にいた白蘭さんじゃなくて、さっき当たってしまった骸さん。 「ちょっと、骸君…(今、僕がしようと思ってたのに」 「平気だったら!子供扱いしないで下さい!」 今は一人にしてって言ってるのに、何で分かってくれないの。あたしはもう誰かに頼って生きないと生きていけないガキじゃないんだよ! 「子供が子供扱いされるのは当たり前じゃないですか」 「っあたしは子供じゃない!何も知らないくせに勝手なこと言わないで!」 バンッ──── あたしが叫んだのと同時に開かれた部屋へ続く扉。そして、あたしはそのままベッドに投げ落とされた。 「いっ」 「…知りませんよそんな事」 起きあがろうとしたあたしは、上に覆い被さってきた骸さんによって押し倒された。 「退いてよ!」 「貴方が話さないから僕らは深入りしていない」 グッと押さえつけられた手首にどれだけ力を入れようがびくともしない。 「子供扱いするなとはよく言ったものですね、まだ子供のくせに」 「っ!」 そう言う骸さんの言葉は間違っちゃいない。だけど───…、 「子供は子供らしくしていればいい、しっかり体を休めなさい」 そう言うと、骸さんはあたしから離れて布団をかけて部屋から出ていった。 何なのよっ──…、赤の他人で、こっちでは架空の人物のくせに!話さないから深入りしない?そんなのっ話せる訳ないじゃん。 あたしはあんな¨過去¨を貴方たちに話すほどバカじゃないわ。 「強引だねー…」 「貴方に言われたくはないですね…」 愛の部屋を出た僕を待ち構えていたのか、壁に背を預けていた白蘭。彼にそう言われて、涙を溜めて睨みつけてきた愛の顔が頭を過ぎった。 「ただいまーって…何してんの二人とも」 何処かに買い物へ行っていたのか、袋を手にリビングに入ってきた綱吉。ああ、いないと思ったら買い物ですか。 「何でもないよ、じゃあお粥でも作ろうか」 「あ、うん…」 綱吉は少し僕のことを気にしながらもキッチンへと姿を消した。 .... (情けない…) (あんな小娘一人に) (何をしているのやら──…) |