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『身内の知らぬ所』※本編候補でした

あたし達三人(骸さんを省いた)は、近くのスーパーまで談笑しながら向かっていた。


「にしても骸って本当チョコ好きだよな」

「可愛いよね」

「可愛いって…;言ったら骸君怒るよ?」


確かに怒られてまた三叉槍向けられそうかも。だけど骸さん最近、笑顔ばっかだからたまにはそういうのもアリかもね。


もちろん笑顔でいてくれる方が嬉しいんだよ?それが本物の笑顔なら尚更ね。


「チョコとマシュマロも合いそうだよね」


「え"」

「んー?;ちょっと嫌かな」


「なんでー!」


ふと思い付いた事を口にしたあたしの発言に苦笑してる二人に、絶対バレンタインでマシュマロチョコ作ろうと密かに心の中で誓った。




***

「えっとー…」


スーパーに到着したあたしは気を取り直して、買わなきゃならない食材に目を通していたんだけど、スッと横から伸びてきた手に買おうとしていた食材を横取りされた。あたしが目付けてたのに!


「ちょっと!それ今──」


「久しぶり、姉貴」


「雄飛……」


何とその横取りした犯人はここにいるはずのないあたしの弟で──、ん?君今、アメリカにいるんじゃありませんでしたっけ?


「探したぜ。親父戻ってきてるらしいな」


「うん…」


「夕吏さんから連絡あってさ。様子見に戻ってきた…んだけど、」


そこまで言った雄飛の言葉があたしの後ろにいた二人を目にして止まった。ちょっとマズイかな;一応、家族には三人のこと知らせてないし;


「あ、二人はね……」


「男と同居してるってマジだったのかよ!」


「狽「やー…それは」


九条君そこまで知ってたのか。ってあの人余計なこと話してくれたなっ。


そう考えながらも、あたしの両肩に手を置いてグラグラ揺すってくる雄飛に苦笑いを浮かべながら落ち着けと一喝する。


「わけあって、今は後ろの二人と、もう一人の男の子を家に居候させてるのは本当だよ」


「何でだよ!つーかいつから!」


「だから落ち着け!とにかく一旦買い物済まして家に戻るから」


あたしはそう言って雄飛の手にしていた食材を奪い取ると、買い物かごに入れてレジへと向かう。ったく、アンタはあたしの兄貴かっての。


「愛、いいの?あんな言い方して…;」


「いーの!」


隣に並んだツナの言い分を受け流して、あたしとツナは会計を済ませた。


「姉貴に手、出した?」


「んー?まだ、かな」


「まだかなじゃない!つーかだすな!」


「はは、君シスコン?まあ、愛チャン可愛いからねー」


「なっ!そういう観点で言ってんじゃねぇよ!姉貴はまだ心の傷が──」


「知ってるよ、だから僕ら三人は彼女が望むように傍にいる。それがどれだけの支えになってるかは分からないけどね」


会計を済ませて、食材をスーパーの袋に移し換えている愛を少し切なげに見つめる白蘭。


彼の言葉に、愛の弟であり、過去を九条夕吏より聞いている雄飛は、驚いた後にグッと押し黙った。

彼らが姉である愛が望んだ存在。


深く傷ついているはずなのに、別れる際に見た彼女の悲痛な面影は今、微塵も感じられない。


それがここにいる二人と、もう一人の同居人のおかげであると言うならば、それは間違ってはいないのだろう。


あの傷を負って、愛自身、男を拒絶していたことは間違いないのだから。

それが今では同居ときた。


「愛チャンは心の強い子だ。きっと僕らがいなくなっても大丈夫だよ」


「え──?」


予想外な彼の言葉に、雄飛は弾かれたように顔を上げるが、白蘭はそれに答えるでもなく愛の元に行き、後ろから抱きついていた。


それを嫌がるでもなく、じゃれるようにあしらう愛を前に、白蘭の言った本当の意味を雄飛はくみ取ることが出来なかった。




(白蘭さん!いい加減にしないとマシュマロ没収しますからね!)
(狽サんな怒らなくてもいいじゃない)
(だ、だって!)
(周りから凄い視線かってるから;)
(姉貴もちゃんと拒絶しないからだろ)
(う、うっさい//)
(可愛い)

(白蘭さん!!)



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あきゅろす。
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