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15:(寝てるし…)

チクタク───

時計の針の音が妙に耳に障る。静かなこの空間に響く音。


何故、こんなに静かなのかといえば…、未だに部屋にこもったまま出てこない愛が関係していた。


「…僕、待つの嫌いなんだよねー」


「知りませんよ、そんなこと」


頬杖をついて、眠たそうに欠伸をする白蘭に、読書に集中できない骸。


「ふぁーあー…」


ツナはというと、大きな欠伸をして目を擦っていた。


自分たちに啖呵を切り、部屋にこもったままの愛を気にかけてか、ご飯も食べずにリビングで彼女を待ち続けている三人。


「骸君、様子見てきてよ」

「嫌ですよ」

「僕の伝達係でしょ」

「いつの話をしてるんですか、貴方は…(関係ないと思いますが」


骸は呆れたように溜息を吐き、読んでいた本を閉じる。


「…(二人とも、気になるなら見てくればいいのに」


そんな二人のやりとりを見ていて、不器用だなと心の中で呟くツナは、この中では一番冷静なのかもしれない。


「じゃあ、綱吉君が見てきてよ」

「では、綱吉が見てきてください」


「えっ俺?」


まるで、ツナの心の内を見透かしたように言う二人に冷や汗たらたらのツナ。


「…(しかも、ちゃっかりハモってるし!」















というわけで、結局ツナが愛の様子を見に行く羽目になってしまい、ノックして部屋に足を踏み入れる彼を見守る二人。


「愛…?」


「ん……すー…」


部屋に入って直ぐ聞こえてきたのは愛の規則正しい寝息。


そして、机の上に広げられていたノートには日替わりで決められた家事担当…云々。


「風邪引いちゃうよ…」


冷え込んできてるのに、とツナが呟いた時、見守っていた二人も愛の部屋へと入ってきた。


「何だ、寝ちゃってるんじゃん」


「どうりで静かなはずですね」


机に頭を突っ伏して眠る姿に、先程、自分たちに啖呵を切った彼女の面影は微塵も感じられない。


ただ穏やかに眠るその姿は、まだ大人になりきれない一人の少女。


「…zzZ…」


「起こすの可哀想だよね」


ツナがぽつりと呟けば、側にいた骸が眠っていた愛を軽々と抱き上げ、ベッドに寝かす。


どこからどう見ても、マフィアというより紳士という言葉があてはまる。


「今日はいろいろありましたから休ませてあげましょう」


「うん」


「それよりさ、これ……」


頷いて同意するツナの隣で愛の書いた日替わり家事担当と睨めっこしている白蘭が眉間にしわを寄せる。


「何ですか?」


「家事担当の振り分け、だね」


「そりゃあ、俺たち居候なわけだし…」


ツナの言い分は尤もであるからに否定できない二人は黙り込んだ。


そして、愛を起こさないように三人はそっと部屋を後にした。


今夜は流石に愛の部屋で寝るわけにもいかないツナは、リビングのソファーで眠ることにした。




....
(面倒なことになったのは百パー君のせいですよ、白蘭)
(嫌だなぁ、責任転嫁しないでよ)
(──はあ、)


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