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13:(君たちに言葉を荒げた)

「!愛、伏せなさい!」


「えっわ?!」


ガバッ────


いきなり聞こえた骸さんの声に何がなんだか分からないあたしはそのまま彼の腕の中に抱き込まれた。


「へぇ、それが君の戦闘体制てわけだ」


「…愛は関係ないはずだ、巻き込むな」


そして骸さんとあたしの前に立ちはだかったその人にあたしは目を見張った。


「ツナ…」


そう、そこには超死ぬ気モードとなって白蘭さんを見上げるツナがいた。生で見るのはもちろん初めてだけど、その大きすぎる存在感に、固唾を飲み込む。


「いいじゃない、愛チャンが死ねば帰れるかもしれないんだし」


「え?」


それって、あたしが死ねば元の世界へ帰る道が開けるかもしれないって事?


「そんな事は有り得ないと言っていただろ。余計なことはするな」


グローブに額と同じオレンジの炎を灯すツナに、あたしの心臓が大きく跳ねる。皆、そう思った、ってこと?


「貴方は何も心配しなくていい」


「骸さ───」


そんなあたしに気づいたのか、あたしを抱き抱えていてくれた骸さんが何かを諭すようにそう囁いてくれた。でも、心配するななんて無理なことだった。


「一番可能性が高いのは此方に来る前の状態を再現することですよ…僕が相手になりましょう」


あたしの反論を許さぬように、言葉を遮ってそっとあたしから離れた骸さん。最後にポンッと頭に置かれた大きな手にスッと不安が安らいだ気がした。


「綱吉、愛の側にいなさい」


「…ああ」


骸さんの代わりにあたしの元に来たツナは、あたしを抱き上げて後方に下がった。お姫様だっこだ…。←


「ちょ、ツナ!止めなきゃ」


「危ないから、…今は動くな」


二人を止めに入ろうとしたら腕を掴まれ引き戻される。強い力にあたしは前に踏み出せなくて。


「そんなっ」


再現なんかしたら、また骸さんがボロボロになっちゃう。白蘭さんが何でいきなりそんなこと言い出したかは知らないけど。


誰かを犠牲にして元の世界になんか帰れるはずないよ。そんなの違う!


バッ────


「愛!」


あたしは勢いよくツナの腕を振りきると、二人の間に割って入った。


「何でそんな風でしか解決できないのよ!」


「「!」」


あたしの怒鳴り声に二人は動きを止めて、あたしに目を向けた。


「貴方達が飛ばされてきたのには何か理由があるんだよ!答えを急いだって、そんな簡単に出るものじゃない!」


そうよ、こんな現実離れした事態になったのには何かちゃんとした理由がある。


「誰かを犠牲にして帰れるなら、あたしを殺ればいい。…だけどそんな事して帰れる訳ないじゃん!


あたしが貴方達を呼んだのか、貴方達があたしを選んだのかは分からない。でも、あたし達が出逢ったのには何か理由があるし、偶然だなんて思えない。


マフィアの事なんてわかんないし知りたくもないけど…、貴方達のことは今まで見てきたから分かってるつもりだった。


甘いこと言ってるかもしれないけどさ…、皆が幸せになれる方法ってきっとあるよ。


今、自分がやってることが正しいと思うならそうすればいい。でも少しでも迷いがあるならやっちゃだめ。


もう大人なんだから、それくらい自分で判断できるでしょ、いつまでも誰かのせいになんて出来ないんだよ!


干渉しないなんて事初めから出来やしなかったんだ…。あたし、皆のこと対等に見るから!!」


あたしは長ったらしい言葉を残してその場から身を翻し、自室に入った。


パタンッ───────


静かに閉じられた扉を見つめて押し黙る三人。各々が愛に言われた言葉から感じ取ったことは違うだろう。


だが彼女の言葉はきっと三人の心に届いたはずだ。あの白蘭が人を殺める手を止めたのだから──…。


それから愛が部屋から出てくるまでに三時間かかったのはまた別の話。




....
(遅いね、愛チャン)
(あれだけ啖呵切ったんですから当然ですね)
(ハハッ、あんなに意見されたの初めてだよ)
(何か愛じゃないみたいだった…)
(あれが素なんじゃないですか?)

(気の強い女の子は嫌いじゃないな)
(さっきまで殺そうとしていた人が言うことですか)
(だって、愛チャン真剣に抗議するんだもん)

(――(─そりゃあ必死に止めに行ったからだよ!汗)


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