「いっただきまーす」 「い、いただきます」 「「───」」 この間はいただきますなんて言う余裕は誰にもなかったけど、今日はちゃんと言えた。まあ、ツナとあたしだけだったけど、それで今はいいんだ。 「今日作ったの愛チャンじゃないの?」 「口に合わなかったら食べなくて結構です」 「骸さんっ!…今日は手伝ってもらったからっ」 嫌な雰囲気になりそうな二人を慌てて宥める。この二人を隣に座らせたのが間違いだったかな!(焦) 「骸って料理できたんだ」 一人感心してるツナは可愛くていいんだけど、お二人さん!(涙) 「昨日より味が薄くなったよね」 「濃すぎると体に悪いですから」 「レオ君みたいなこと言うね」 「僕がレオナルドでしたからね」 「そう言えばそうだったね、裏切り者」 「初めからミルフィオーレについたつもりは──」 「ストーップ!」 「「───」」 もう言い合いが止まらない二人の会話を遮って机をバンッと叩いた。このまま止めないと、永遠に言い争いが止まらない気がしたから。 「言ったはずです!ここにいる間は仕事とか全部忘れて過ごしてって…」 「そ、そうだよっ…折角作ってくれたんだし」 しどろもどろになりながらも、あたしに賛同してくれたツナ。それに二人は静かになったけど、納得いかないような顔をしていた。 と、そのとき…、丁度目に入ってきた時計が七時半を指していて…。 「あー!遅刻ー!」 「「「?!──」」」 バスに乗らなきゃならないのに、時間がギリギリになっていた。このままだと確実に乗り遅れる自信がある! 「今日は外出禁止!喧嘩しないこと!それからっ…それからっ…」 言おうか迷った。でも言わなきゃ後悔しちゃう気がした。あたしは目を泳がせた後、目を丸くしてる三人に、半ば叫ぶ感じで口を開いた。 「もし…帰るときは書き置きかなんかしといてよね!行ってきます!」 パタン───── 風のように走り去った彼女をポカーンと見つめていた三人はやっと我に返ったが、既にそこに愛の姿はなかった。 「……」 「行ってらっしゃいって言えなかった…」 「いつでも脳天気ですね君は…」 ご飯を食べながらそれぞれ思いを巡らす三人を、気にする余裕もない愛は、バス停まで全力疾走だ。 .... (不用心だねー、会って間もない僕らを三人家に残して学校だなんて) (そんなこと頭になかったんでしょう) (俺もそう思う……) |