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13:(リングに刻む文字)

「ねえ、愛」


「んー?」


今日は皆様お待ちかねのクリスマスパーティー。毎年恒例の美和の家での大々的なモノは開催できないけど、あたしの家で盛大なパーティーを開くことになった。


それで、お買いものに来たあたしと美和は、食材から何やら買い込んでいて、今はあるお店であたしが立ち往生。…だってプレゼント用意してなかったの今になって気がついたんだもん。


「そんな安物でいいの?」


「お嬢様な美和には分からないでしょうよー」


「それでなくても手を抜き過ぎよ」


「そうかなー?」


流石に百円ショップはまずかったみたい。まあ、自分でもそれは駄目だと思うけどさ…。あんまり高価な物あげると気を使わせちゃいそうだから…。


「ね、アレは?」


「え?」


美和に無理やり店から連れ出されて連れてこられたショップで提案されたのは、シルバーアクセサリー。


「高いよ…」


「あら、こんな時こその奮発じゃない」


「…奮発ねー」


奮発する分には構わないんだけど、三人に共通性のあるものをあげたかったんだよね、あたし的に。シルバーアクセサリーだと、統一性にかけちゃう。


「これ、文字彫ってもらえるみたいわよ?」


「あ、本当だ…」


美和が指した広告にはこのクリスマスシーズンにだけ無料で好きな文字を彫ってくれるっていうサービス中だと書かれていた。


「彫るとしたら何て彫るの?」


「Un'obbligazione──」


「…それ、何語?」


自然と頭に浮かんだ言葉。まだ、三人と仲良くなりたてだった頃に教えてもらったイタリア語。









─────────────


「ね、骸さん」


「何か?」


「イタリア語って難しい?」


あたしの問いかけにきょとんとした顔する骸さんと、一緒にそこにいた二人も同じ表情をする。


別に深い意味なんてなかった。ただ、彼らの故郷であるイタリア、その言葉をあたしも話せたらいいなって、そう思っただけ。


「んー…僕は日本語よりは簡単だと思うけどな、」


「僕もそう思います。──いきなりどうしたんですか?」


「うーん、ちょっとね、興味あったから」


そう言って笑えば、まだ納得していないのか思案顔。…本当に興味があっただけなんだ。いつか、貴方達とイタリア語で話してみたいって思っただけなの。


「あ、ツナは日本人だったね」


「…愛もじゃんか」


「そうだけど、…あ、じゃあ一緒にイタリア語勉強しようっ」


「え──、」


どうせボスになったらイタリア語必要じゃないって言ったら顔をひきつらせていたっけ。それを皆で笑いあっていたのが何だか遠い昔のように感じる。


「絆、ですか?」


「そうそう」


「Un'obbligazione──、でいいんじゃない?」


「わっ、白蘭さん外国の人みたーい」


「僕からしたら愛チャンも外国人だよ」


目を輝かせたあたしに苦笑して、そっと頭を撫でてくれた白蘭さん。そういえばそうだった、この時初めて、白蘭さんと骸さんは外国人だったって認識をもてたの。そんなの以前に、彼ら三人はこの世界の住人ではないんだけどね。


「それで愛、」


「はい?」


「何故、絆なんですか?」


タイミングを見計らって問いかけてきた骸さんに、あたしは振り返って何の迷いもなく笑顔で返した。


「三人とあたしの間にあるモノだから」


「「「!────」」」


その¨絆¨は、今じゃもっと多くの人との間に架かっている架け橋。その繋がりが泣き虫で弱いあたしを支えてくれるから。


それをあたしは守りたい───…。




....
(決めた!これね)
(リング──?)
(うん、お好みでチェーン付きのね)
(!─、愛にしては上出来ね)


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