昨日は舞い上がっちゃってあんまり眠れなかった。眠たい目を擦って、支度するといつもより早めに家をでた。
「「あ…」」
そのせいもあってか、朝練へ向かうリョーマ君と朝からはち合わせしてしまった。いや、やだとかじゃなくて、嬉しいハプニングなんだけど…。
二人して、声を揃えてあ…なんてベタな事してしまい、あたしは反射的に顔を逸らしてしまう。だけど、折角会えたんだし!と勇気を振り絞ってリョーマ君を見つめる。
「お、おはよ//」
「!…はよっ」
その甲斐あって、初めて(?)リョーマ君に自分から挨拶できた。しかもちゃんと返事もしてくれた♪←
それだけで幸せいっぱいのあたしに、リョーマ君が口を開いた事によって幸せのボルテージは上がっていく。
「…一緒に行く?」
「え?」
「嫌なら別にいいけど…」
「ううん、行く!」
なんとなんと、リョーマ君から一緒に学校行こうなんて誘ってもらっちゃった。かなり有頂天になる自分を必死に抑えて、彼の隣に並ぶ。
あたしが嬉しそうに返事を返したせいか、リョーマ君が少しホッとした様に見えたのは気のせいかな?
とまあ、そんなことは置いといて、朝から好きな人と一緒に学校行けるなんて今日はきっと、ラッキーデイなんだよね!
「何でそんなに嬉しそうなわけ?」
「そうかな?ちょっとね!」
「…まあ、いいけど…(人のこと言えないし…←」
でもこんなのまだ始まりに過ぎないんだと、この時は知る由もなかった。
***
「じゃあ、リョーマ君…朝練頑張ってねっ!」
「ん、サンキュ…」
香山と、一緒に登校してきて、テニスコート付近で別れてからコートに入る。何か、今日は調子いいかもしんない、なんて思って。
「ちーッス」
「お、来たぜ来たぜー」
「聞いたぞー!オチビ!」
「!──、何スか」
コートにはいるなり、英二先輩が抱きついてきて、桃先輩がニヤニヤしながら近づいてくる。まさかとは思うけど……。
「隠さなくてもいいじゃねぇか!越前」
「だから、何の事ッスか」
訳も分からず背中を叩かれてレギュラーの先輩に囲まれた。ちなみに、手塚先輩はいないらしい…。
「彼女できたんだって?」
「は?」
「今一緒に来てただろ!」
「お前も隅に置けねぇな、置けねぇよ…」
彼女────?
まさかとは思ったけど、香山の事?
「なっ!違、アイツはクラスメートで」
「そんな誤魔化さなくていいじゃんかー、ねー大石!」
「そんなに責めたら可哀想だろ…、彼女出来たならおめでとうの一言で─」
「大石先輩まで何言ってンスか!!」
変な誤解された…。否、俺はそうなればいいと思うけど、今はまだ言えないから…。それが現実になればとは思うけどさ。
この騒ぎを止められるのは、やっぱあの人だけっしょ──…。
なのに、今日休みらしいし…、このまま行くと香山に迷惑かけかねないじゃん。やっと距離が縮まったと思ったのに。
「越前、今日部活休みだろ?よかったら彼女連れて俺ん家きなよ!特上の寿司握ってやるからさ!」
「ズルいー!俺も行く!」
「英二先輩が行くなら俺も行くッスよ!」
「じゃあ僕もお邪魔しようかな…」
「皆できなよ!親父もきっと喜ぶからさ!」
「「イェーイ!」」
俺が口を挟む間もなく勝手に話が進んで、今日、河村先輩ん家集合となった。
どうすんだよ…。
....
(けど、香山が彼女だったら)
(ホントに幸せかもね……) |