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14.暴力に暴力で答えないで。

ガラッ───


「美咲!」


「リョーマ//」


越前が駆けつけて病室に駆け込んできた瞬間、ふわっと天使のような笑みを浮かべる美咲に、その場にいた部員全員がそれに見惚れたのは言うまでもなく。


ただ一人、越前だけはそれどころではなかった為、影響はなかったようだが──。


「…ごめん」


「!…ううん」


美咲に謝って抱きしめた越前だが、彼女は首を横に振ってただ安心したように微笑むだけだった。


「見せつけてくれるぜー」


「桃!」


二人を複雑な気持ちで見つめる部員に気づいたのか、一度美咲を離した越前は付き添いだった手塚を見上げると口を開いた。


「…直ぐ退院できるンスか?」


「いや、2、3日は絶対安静だと言われている」


「そッスか…」


越前はその返答に美咲の隣に腰掛けると、彼女の頭を撫でながら、小さく呟いた。


「リョーマのせいじゃないよ」


「…ん、」


「絶対テニスで勝たなきゃダメだからね?手をあげちゃダメだよ?」


「………………分かんない」


物凄く長い間の後に、小さくボソッと呟いた越前に、部員達は¨おいおい¨と呆れ困った感じで目頭を押さえていた。


「暴力に暴力で答えても何も解決しない…。あの時、あたしの気持ち分かってたから手出さなかったんでしょ」


「………さあ?」


「リョーマ」


「…分かってるよ」


越前に向けられる美咲の一言一言は、彼だけにではなく、部員達の心にもしっかりと届いていた。


山吹とは準決勝を勝ち進めば決勝で当たる可能性がある。そこで、正々堂々と勝負すればいいのだ。


「あたしは見に行けないけど…負けたら承知しないからね」


「…負ける訳ないじゃん」


「信じてる」


「うん…」


「ストーップ!」


二人が甘い雰囲気になったところで、菊丸が止めに入り、手塚は咳払いをした。そうでもしないとこの二人は周りの存在を忘れてしまうから。


「先輩達まだいたンスか…、邪魔しないでくださいよ」


「リョ、リョーマ//っ」


一人慌てて赤面する美咲を引き寄せたまま部員を横目で睨む越前に手をワナワナ震わせて怒り出す部員達。


「あのなあ!」


「おチビのくせに生意気だぞー!美咲は怪我してんだからな!」


「無理強いしちゃいけねぇな、いけねぇよ」


「無理強いはしてないッスよ」


桃城の決め台詞をサラッと流す越前に桃城が怒りを露わにする。


「このバカ」


「いてっ」


そして、振り下ろされた拳は真っ直ぐ越前の頭にヒットした。並の人間なら卒倒しているだろう。


「桃先輩っ(汗」


「当たり前だ!美咲はあの状況で拒めないだろーが!」


頭を押さえて痛みに耐えてる越前に、周りからはよくやったと言わんばかりに笑いが漏れた。


美咲もそれに混じって笑って、落ち着いてから部員達に向き直ると、頭を下げた。


「都大会準決勝は応援行けないですけど…、あたしは先輩達の事信じてます!絶対優勝決めてきてください//」


「「?!──ああ(おう)!」」


部員達が頷いたのを確認すると美咲は笑顔で返した。


さて、いよいよ都大会準決勝──、
亜久津に対してリョーマが抱く感情が吉とでるか凶とでるかはまた次回。


そして、もう美咲にちゃん付けする者は大石と河村だけになっていたのはまた別の話──。




....
(で、いつになったら二人きりにさせてくれるンスか)
(リョーマっ)
(ったくしゃーねぇな)
(美咲、襲われそうになったら叫ぶんだよ!)
(俺はそんな飢えてないッスから!)
(あは、はは;)


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あきゅろす。
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