「もしもし」 (ねぇ!美咲今日暇?) 「あ、朋ちゃん。暇だよー」 またまた朝からかかってきた電話に、リョーマかなと期待したけど、相手は朋ちゃんだった。や、別にがっかりしてる訳じゃないんだよ! (じゃあさ、桜乃と言ってたんだけど) そう言って、ある場所まで来るようにと言われた。何でも桜乃ちゃんが、テニスのコーチをしてもらうのに混ざりにいこうって話らしい。 今日は特に用もないし、あたしは了承すると直ぐに支度を始めた。 *** 「お待たせっ」 「美咲…」 「え…?」 予定の時間を大幅に過ぎて集合場所に来てみれば、何とリョーマまでいて…って、何でー! 「美咲ちゃん、おはよ」 「おはよ…えっと何でリョーマ?」 「そのコーチってのがリョーマ様だったのよ//」 凄い嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる朋ちゃんに照れ笑いする桜乃ちゃん。可愛いな二人とも。 それに比べてリョーマは未だにポカーンとしていて、何であたしが来たのかわかっていないらしい。 「美咲もよかったじゃない!」 「えっ//」 朋チャンはガッツポーズをしてあたしに笑いかけてくれる。実はこの二人、まだあたしとリョーマが付き合ってるのを知らなかったりする。 だけど、あたしがリョーマを好きなことは知ってるから、そう言ってくれてるわけで…。 チラッとリョーマを見ると、じーっとこっちを見てるし。き、気まずいよ// 真っ赤になって顔を逸らすと、状況がわかったのか、悪戯な笑みを浮かべて、口を開いた。 「香山はテニスしないわけ?」 「うっ//」 「教えてあげよっか」 「い、いらない//」 わざと呼び名まで付き合う前に戻して愉しそうに笑うリョーマに真っ赤になった顔を見られたくなくて、あたしはプイッと顔を逸らした。 「あっそ。竜崎、膝もっと曲げて」 「あっう、うん//」 リョーマって絶対あたしからかうの好きだっ。わざと苗字で呼んだり、ヤキモチやかせようとしたり…っ。 桜乃ちゃんと朋ちゃんがテニスに夢中になって、植え込みの花壇の縁に座って見守るリョーマ。 そんな彼は、あたしがずっとそっちを見ていると気づいたのか、笑って手招きしてくれた。 「っ//」 あたしはそれが嬉し恥ずかしかったけど、小走りでリョーマの所まで来て隣に腰掛けた。 「意地張りすぎ」 「だっだって//」 隣に座ると直ぐに、リョーマに頭を抱かれてグッと引き寄せられた。その行動で安堵している自分がいること、やっぱりリョーマの傍は安心するなというくすぐったい気持ちにそのまま身体を預けた。 「…ま、百面相してる美咲も見てて飽きないけどね」 「悪趣味っ//」 「クスッ」 ポンポンと頭を撫でられて、フッと力が抜ける感じがした。それと同時に二人の視線を感じて、顔を上げたあたしはハッと我に返る。 「そ、そうゆう関係?!」 「付き合ってたの?!」 あ、しまった…と思っても後の祭りだ。隣にいたリョーマを見上げれば肩を震わして笑いを耐えてるし。気づいてて言わなかったな!リョーマの奴っ// 「リョーマ様!!」 「な、何っ、いてっ」 あたしは、未だに笑いを止められず、笑いながら返事を返すリョーマの頭を軽く叩いて離れる。 「美咲ちゃん(苦笑」 「何で言わなかったのよ!美咲ー」 「うわっ」 いきなり飛びついてきた朋ちゃんに後ろにひっくり返るあたしを抱き止めてくれたのは、後ろにいたリョーマで。 「…ご、ごめん」 「別に」 そんなあたし達のやりとりを見て、二人は目を丸くしてから、嬉しそうに笑ってくれた。 「「おめでとう」」 「「え──」」 その二人の言葉にあたしとリョーマは目を見開いて、静止した。まさか祝福の言葉をかけられるなんて思わなかったから…。 でもそれは直ぐに嬉しい気持ちに変わり、二人で顔を見合わせてから声をそろえて感謝の気持ちを口にした。 「「ありがと(う)」」 .... (あ、ボール!) (((?))) (さっき飛ばしちゃって─) (((………))) この後、リョーマが何十人相手に試合することになったのはまた別のお話。 |