いつからアイツから目が逸らせなくなったのか分かんないけど、気になって仕方ない。 同じクラスだけど、必要以上に話してこないし、小坂田とか竜崎みたいに自分から話しかけてなんか絶対こない。一週間に一回、会話したらいい方だと思う。その会話っていうのも、聞いて答えるとか単調なのばっかり。 普通なら、そんなのつまんなくて、飽き飽きするんだろうけど俺はそう感じなかった。香山と話すことはどんな短いことでも、単純なことでもよかった。 それは俺が香山に特別な感情を抱いているからで…、それは勿論、初めて抱く感情なんだ。 「はあ…、何やってんだろ」 ボーッとそんな事を考えていた矢先、耳に届いたその声に足を止めた。 「香山…?」 「?!」 直ぐに誰の声か分かった。聞き間違えるわけない。今、ずっと考えてた奴の声だったから…。 気がついたら呼び止めていて、振り返った香山に、少し安堵した。 「リョーマ君…!」 ひどく驚いた顔をした香山にさっき聞こえたことを思い出して聞いてみる。 「何、溜息ついてんの」 「えっ、あ…な、何でもないの」 何でもないならそんな焦った顔しないと思うけど?それは敢えて口にせず、スルーした。何か追い詰めるのも可哀相だし…。 「ふーん…、あのさ」 「は、はい肇 「緊張しすぎ」 「へ…?」 「だから、さっきから肩に力はいってる」 俺はそう言うと、香山の肩に両手をおいてポンポンと軽く叩いた。 凄い緊張してガチガチの香山は、自分では気づいてないみたいだけどさっきから真っ赤っか。何か新たな一面見れてラッキーかもね…。 「あ、…//」 「香山って、男に免疫なさ過ぎなんじゃない?」 まあ、俺的にはそっちの方がいいんだけどさ、いろんな意味で。それに、変な連中が集ってこなくてすむし…。 「…何だかリョーマ君て男の子じゃないみたい」 「何それ…」 何の前触れもなく、こぼした香山の一言に目を丸くした。どうやったらそんな発想が生まれんの…。 「だって、あたし男の子苦手だからさ」 「だからって俺、男なんだけど?」 「分かってるよ」 凄く複雑そうな顔をしてたのか俺に面食らったらしい香山は、笑いを堪えられなかったみたく、吹き出した。 「…笑えるじゃん」 「え?」 「何でもない…」 ボソッと呟いた俺の言葉が聞き取れなくて、再度聞き返されたけど、そっぽを向いて答えなかった。 初めて見た香山の笑顔がどうしようもなく、愛しく感じたからかもしんない…。 帽子を深くかぶり、表情を悟られないように、何となく二人並んで帰路に着く。今までろくに話したこともなかったけど、自然と会話が成り立って、帰ることが出来た。 「じゃあ、俺こっちだから」 「うん、また明日」 本当は送ってあげたかったけど、何だか照れくさくて言い出せないまま最後の別れ道でわかれた。 .... (リョーマさん、何だか機嫌がいいみたいね) (…、まあね) (((──(珍しい…))) |