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03.イジケてる君が可愛くて。

「遅いなあ、越前の奴」


「今、大石が連絡取りに行ってるよ」


既に試合会場に集結している青学メンバーは、未だ現れないレギュラーの一人、青学の一年ルーキー越前リョーマを時間を気にしながらも待っていた。


理由は簡単だ。越前がいなければ選手登録ができないからで。


「手塚、美咲チャンには連絡ついたのー?」


頭の後ろで腕を組んで、前屈みに訪ねる菊丸に頷く手塚。


「ああ。何度電話しても出ないから迎えに行くと言っていた」


「ほえー、オチビの奴美咲チャンにまで迷惑かけてー」


「でも、大きな事故じゃないといいけど…」


「タカさん心配しすぎッスよ」


「そうそう。どーせ寝坊だって!」


噂するレギュラー達の予想は的中しているわけだが、このままでは確実に受付に間に合わなくなる。皆、ああは言っても焦る気持ちを隠せずに二人からの連絡を待った。




***

あれから携帯を確認したら不在着信が8件もあって、その内7件は美咲からのモノだった。(ちなみに一件は大石先輩)


俺は、用意を済ませると家を飛び出してバス停まで走った。


もう先行ったかな…?
でも美咲なら待っててく─


ドンッ────


「きゃっ」


「っ?!」


角を曲がったところでぶつかったせいで、俺の思考はそこでストップした。


「って」


「ごめんなさい!急いで…!リョーマ!」


「え…?」


俺が顔を上げた先にいたのは、ジャージに身を包んだ美咲の姿。いつもと違って下ろされた髪が何だか新鮮で、暫く見入っていた。


「バカッ」


「売氛泪


美咲の一喝にハッと我に返ると、俺の前にしゃがみこんでる美咲が俺の手を引く。


「心配したんだからっ」


「!…ごめん」


弱々しく息切れした声に、どれだけ心配かけたか悟る。前にも同じようなことあったじゃん。何してんだ俺…。


後ろを振り返らない美咲に罪悪感がこみ上げてきて、何て声をかけたらいいか分からなかった。


「……」

「……」


沈黙のままたどり着いたバス停に二人でただじっとバスを待つ。


「寝坊助リョーマ」


そんな沈黙は美咲の小さな呟きによって破られた。


「狽ネ、…」


「遅刻魔」


「肇


美咲は言い返すことができない越前をチラッと見てから視線を戻す。


「…次したらもう許してあげないからねっ」


そう言ってプイッと横を向く美咲に一瞬状況を把握しきれていない越前は目を見開いていた。


だが、直ぐに状況を把握して、クスッと笑みをもらすと、自分の隣でイジケている彼女の肩に腕を回す。


「サンキュ…」


「…うん//」


りんごの様に赤く染まった美咲の頬に口付けると、バスが来るまで笑い合っていた二人でした。


その頃、会場では堀尾が代役に立てられ手続きが行われていたとか──。




....
(美咲、試合全勝だったらご褒美ちょうだい)
(!─クスッ、りょーかいです)


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あきゅろす。
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