「おまたせ」 「話って何だったの」 校門で待っててくれたリョーマに駆け寄ると、直ぐにその話題を持ちかけられた。 「…明日ベンチコーチしてくれって」 「ふーん」 あたしがそう言うと、リョーマはニヤッと悪戯な笑みを向けて、あたしの頭を撫でてくる。 「な、なに//」 「よかったじゃん。俺の試合、間近で見れるよ」 「なっ何よそれー//」 確かにそうだけど…。図星をつかれて、本人にそう言われたら何だか心を見透かされたみたいで、恥ずかしいったらない。 「いーじゃん。事実なんだし」 「事実でもそんなハッキリ言わないでよっ//」 もう自棄になって、肯定したあたしをクスクス笑って、宥めてくれる温かいリョーマの手。その手で頭を撫でられたら、何だかホッとして落ち着いてくるの…。 *** 「明日、起こしにきてくんない?」 「え?」 あたしの家まで送ってくれたリョーマは、別れ際にそう問いかけてきた。あ、リョーマって朝弱いもんね。 「ダメ?」 「ううん!いいんだけど…」 「?」 あたし、リョーマん家行ったことないし…。今まで待ち合わせとかばっかだったから…。あたしの気持ちを察してか、リョーマが思いついたように声を上げる。 「じゃ、電話して」 「へ?」 「バス停で落ち合えばいいでしょ」 「あ、うん//!」 それなら大丈夫だ。流石に入ったことないリョーマん家に朝から入るわけには行かないしね。 あたしが頷くと、額に感じる温かな感触──。それが何なのかは直ぐに分かった。 「じゃ、また明日」 「うん、バイバイ!」 あたしとリョーマの別れ際の挨拶の定番になってしまったおでこにキス─。最初は恥ずかしかったけど、今では日課のようになってるから。 リョーマがこれをしてくれたら今日はもう終わったんだって思えるまでになっていた。そっとおでこに触れて幸せ実感するあたしってどうなの← だけどこの時はまだ、明日の都大会で大きなハプニングが起こるなんて思いもしなかった。 翌朝─────────… ピピピーッ─── 「んー…」 耳障りな電子音に目を覚ますと同時に視界に入ってくる目覚まし時計。 「青学の集合時間は10時…ん」 んで時計の針が指してる時間は9時56分…… 「あーー!!」 .... (もしもし?…今からリョーマん家行ってみます) (ああ、少し急いでくれ) (はい!) |