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11.デートのお誘い?!

今日は久々に部活もなくて一日暇な休日。…だと思っていたけど、朝一番に携帯が鳴り響いて、ディスプレイには着信の二文字。


あたしは、携帯を手に自分の部屋に戻り電話に出た。


「もしもし?」


(俺だけど、…今日暇?)


「あ、リョーマ。うん暇だよ」


朝からかかってきた電話に内心迷惑な…とか思ったけど、相手がリョーマだと分かって逆に嬉しい気持ちでいっぱいになる。あたしって現金だな。


(近くのストリートテニスコート…分かる?)


「うん、杏チャンとよく行くから…」


(杏…?ああ、あの人─)


「知ってるの?」


(…不動峰の橘さんの妹でしょ?)


嗚呼そっか…、青学は地区予選決勝で、不動峰とあたったから知ってても変じゃないんだ…。ちょっと嫉妬しちゃったかな、あたし。


(…美咲、聞いてる?)


「あ、ごめん…えっと」


変な疑いを巡らせていたら、リョーマの肝心な話を聞き逃していた。


(…都合悪いの?)


「ううん、ボーッとしちゃって」


慌てて言い訳すると、リョーマはもう一度さっき言ったらしい事を繰り返してくれた。


「じゃあさ、あたし先に行ってていいかな?」


(?…いいけど、まだ約束まで時間あるよ…)


「いーの。杏チャンも先に行ってるなら、久々に会いたいし」


(分かった…じゃ、後で)


「またね」


ツー、ツー───
リョーマとの初デート…とは言えないけど、休日なのに会えるのは嬉しい。


本当は午後から行こうって言われたんだけど、あたしは先に行って待つことにした。久しぶりに、ストリートテニスコートに行くんだから皆に会える。そう思ったら少しでも早くコートに向かいたかった。


「お母さん、出かけてくるね」


「あら、お昼は?」


「外で食べてから行く!」


「そう、じゃああんまり遅くならないようにね?」


「はーい!」


あたしは、動きやすい格好に着替えて家を後にした。ただリョーマと会えるっていうことが楽しみで、足取りは凄く軽かった。




***

「………」


「どうしたの?リョーマさん」


美咲に電話してからリビングに戻ってきた俺に首を傾げる従姉に、パタンと携帯を閉じてしまう。


「別に…」


「何か浮かない顔してたから、デートのお誘いでも上手くいかなかったのかと思っちゃった」


「……」←軽く図星


電話聞かれないようにテニスコートの方にいたのに…、変なとこ鋭いな。


「何だリョーマ。デートか」


「…親父には関係ない」


朝からニヤニヤして何考えてんだか分かったもんじゃない。もしつけられたら美咲に迷惑かかるし。


「あらやっぱりデートなの?」


「…テニス行くだけ」


「ははーん。それでここ最近、機嫌がいい──」


「ごちそうさま」


親父が調子乗り出す前に午前中の用を済ませる為、席を立つ。


「ちょーっとばかし冷たいんじゃねぇの?青少年」


「…今度連れてくる」


パタンッ────
俺はそれだけ言い残して、リビングを後にした。


「楽しみですね、おじ様」


「ああ。アイツがテニス以外に興味持つなんてな…、こりゃおもしれー」




....
(つけちゃおっかなー)
(駄目ですよ。リョーマさん機嫌損ねちゃいますから)
(へいへーい)


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あきゅろす。
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