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01.君が大好きなんだ。

「俺、アンタが好き──」


「え──?」


「付き合ってくんない…?」


あたしの恋は、嵐のようにやってきて、貴方に全てを奪われた。

























あたしは青春学園に通う一年生。ごく普通で、取り柄なんてない一般的な女の子。


ただ、テニスが大好きで、同い年なのにレギュラーとして頑張ってる越前リョーマに淡い恋心を抱いてるだけ──…。


そんなの叶うはずもないのに、想い続けて、もう二ヶ月が過ぎただろうか。


相変わらず何のアピールもしないで会話すら一週間に一回あるかないかの始末。


「はあ…、何やってんだろ」


朋チャンや桜乃チャンみたいに話しかけたらいいじゃない。自分から何も出来ないで、恋なんか成就する訳ない。


「香山…?」


「?!」


そんな事を考えながら歩いてたら、後ろから今一番会いたかった人の声がした。否、会ってもどう接していいかわからない人。


「リョーマ君…!」


「何、溜息ついてんの」


「えっ、あ…な、何でもないの」


振り返ったら、案の定、声は彼のモノで、突然のことにどもりながら上手く話すことが出来ない。


「ふーん…、あのさ」


「は、はい肇


「緊張しすぎ」


「へ…?」


「だから、さっきから肩に力はいってる」


リョーマ君はそう言うと、あたしの肩に両手をおいてポンポンと軽く叩いた。や、やばいっ//


「あ、…」


「香山って、男に免疫なさ過ぎなんじゃない?」


そう言われてみれば…、いやちょっと違うのかな?あたしがこうなのは……と心の内で呟いていたら、さっきまで上がっていた自分が嘘のように、ドキドキがおさまった。逆に少し下がったテンションを隠して笑ってみせる。


「…何だかリョーマ君て男の子じゃないみたい」


「何それ…」


「だって、あたし男の子苦手だからさ」


うん、大の苦手になってたんだ。だからあたしが貴方に恋をしてるって本当に不思議。


「だからって俺、男なんだけど?」


「分かってるよ」


凄く複雑そうな顔をするリョーマ君に面食らったあたしは、笑いを堪えられなくて吹き出した。こんな風に男の子の前で吹き出すのはいつぶりだろう。


「…笑えるじゃん」


「え?」


「何でもない…」


ボソッと呟いたリョーマ君の言葉が聞き取れなくて、再度聞き返せば、プイッとそっぽを向かれちゃった。何か可愛い。


それから何となく、二人並んで帰路に着く。今まで緊張してろくに話したこともなかったのに、自然と会話が成り立って、笑い合って帰ることが出来た。


「じゃあ、俺こっちだから」


「うん、また明日」


最後の別れ道で手を振ってリョーマ君とわかれる。何だか寂しいって思えるほど貴方に近づけたような、そんな帰り道。




....
(何か今んなってドキドキがっ//)
(あ、お帰りって……姉ちゃん?)


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あきゅろす。
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