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第3夜 契り事『誰にも渡せない』
今宵、狂おしいほどの愛に結ばれた結束──…















───り事


















「愛、今日は相手してってくれる?」


任務完了後、部屋を後にしようとしたあたしにかかったツナさんからのお願い。最近断り続けてたっけ──


ツナさんの相手とはあれだ、その…体を重ねるって意味で…。今日はこれから隼人の元に行くことになってるんだけど…。


「あの、今日は──」


「ダメ、帰さないから」


「ツナさっ──」


やっぱり隼人に会いたい気持ちが勝って、断ろうと口を開けば、後ろから抱きしめられ唇を彼のそれでふさがれてしまった。


前も同じようなことがあった。隼人と待ち合わせしてるのに結局、ツナさんに解放してもらえなくて会えなかったこと。


隼人は仕方ないって言ってたけど、あたしがツナさんと体重ねて会いに行けなかったことが仕方ないって──


そんなの嬉しくないよっ。


「やっ──」


「嫌って何?拒む理由何かあんの?」


「それはっ…あっ」


嫌だと言ったところで解放なんかしてくれないけど、素直に感じる体が憎い。


あたしが体を重ねて幸せになるのは隼人だけだよ。ツナさんとは仕事の付き合いなんだからっ。


話しながらも止むことのない彼の愛撫に、あたしの体は全く抵抗の意志を示してくれない。


「そんなに隼人に会いたい?」


「!──何言ってっ、痛ッ」


いつにも増して乱暴な抱き方をするツナさんの口から、信じられない名前が飛び出した。


どうして知ってるの──?
半年間、貴方はもちろん守護者にだってばれてないのに。


「何、図星?」


「違うっ。あたしは、京子さんに悪いかっ──いっあぁ」


痛いっ。何でこんな性欲処理みたいなことまであたしがしなきゃならないのっ。京子さんが好きなら彼女に言えばいいのに。


「京子はいいんだよ。言ったじゃん。俺が好きなのは愛だって、な?」


「ひゃっあ、痛っ!ツナさん!」


我慢できない。あたしはあまりの痛さに彼から離れようと動けばそれを許さないとでも言うように押さえつけられた。


夜になると優しい彼の面影は消える。あたしが好きだとか言うし、妙に鋭く隼人と何かあるんじゃないかと疑いをかけられる。


何だって言うんだっ。


「痛いのも愛情。分かってるだろ?」


「っく、うっ……ツナさんじゃないっ」


「俺は俺だよ、今日はもういい。おやすみ」


スッと引いた鈍い痛みに、あたしの額に落とされた軽いキス。¨もういい¨と言う言葉にあたしは逃げるように部屋を飛びだした。


乱れた服なんて気にしていられなくて、ただ自分の部屋に向かって前も見ずに走っていた。


ドンッ──


「!─愛」


「あっ、すみません!失礼し─?!」


ぶつかった相手を見上げるとそこにいたのは、リボーンさんで─。あたしは慌てて俯きその場から去ろうとした。


それは彼によって遮られてしまったけれど。


「離してくださいっ」


掴まれた手首に涙を堪えたまま歯を食いしばって呟けば、無言のままリボーンさんの部屋まで連れて行かれた。


「リボーンさっ─」


「獄寺もいる。黙って来い」


「?!」


何でリボーンさんまで──


「ほら入れよ」


「リボーンさん、話って──!愛」



***

ついさっき部屋を訪ねてきたリボーンさんにここで待っていろと言われてから数分。


戻ってきたリボーンさんに話を聞こうと立ち上がればボロボロで涙を流した愛がいて───


「俺は知ってる。別に隠さなくてもいいぞ」


リボーンさんのその言葉にも驚いたが、そう言う前に愛が抱きついてきたことに驚いた。つか、何で血出て──こんなボロボロなんだよ。


「愛、どうした?」


「隼人ぉっ」


聞こうと優しく問いかけてみても抱きつく腕に力がこもるだけで、俺の名前を呼ぶだけ。言わなきゃわかんねぇのに。


愛を抱きしめ返し、そっと頭を撫でてやれば安心したのか少し落ち着きを取り戻した。


「愛はツナの部屋にいた。それもアイツに無理強いされたんだろ?」


「!──」


タイミングを見計らって口を開いたリボーンさんにビクッと震える愛の身体。


嘘、だろ?十代目がそんな──


「ツナの奴、最近おかしいんだ。お前等の関係も感づき始めてるぞ」


「「!」」


確かに最近、愛との接点を減らされてはいるが、半年間バレずにきたのに今更──


「リボーンさんはいつから…」


「──先月のお前の誕生祭だ」


誕生祭。ああ、そういえば十代目がわざわざ開いてくれたんだったな。けど愛とは──!


「あたしが酔った時──」


「ああ。多分、ツナもその辺くらいから疑ってる。本気で愛を愛しちまったみてぇだからな」


愛が酔って俺に抱きついたときか。って、十代目も愛を!?


ど、どうすんだよ、俺っ


「でもツナさんの愛し方怖いっ」


「愛─…」


しがみついてくる愛の手は震えていて、入ってきた格好からしてよっぽどな抱かれ方したのか。


「ツナはボスだ。正気に戻すにはお前等の力がいる。ボンゴレに影響がでる前に何とかするぞ」


「やだっ、あたしは隼人じゃなきゃやだよ」


「誰も毎晩あんな目にあえって言ってんじゃねぇ。お前等の秘密は俺が守ってやる。代わりにツナの精神病治すの手伝え」


帽子の奥からのぞくリボーンさんの真剣な目に嫌だと拒む愛を強く抱きしめて深く頷いた。


「隼人っ」


「十代目の精神が正常に戻らなきゃお前取られるじゃねぇか」


「何言って──」


「嫌なんだよ。愛が他の男に触れられんのは。たとえそれが十代目でもな」


嫌なんだよ。好きな女奪われんのは、いくら忠誠を誓った貴方でも──


愛だけは渡せない。


「フッ、今日から俺たち三人は¨共犯者¨だ。忘れんじゃねぇぞ」


「はい」

「……はい」


俺が守る。十代目もきっといつかは認めてくださる。


「それからイチャツくのは俺の部屋にしとけ。防音になってるからな(ニッ」


「なっ!リボーンさん」

「うっ」


赤面する愛にニヒルな笑みを浮かべるリボーンさん。この人、一体どこまで知ってんだ(焦


「部屋から漏れてるぞ。愛の声」


「だっだって隼人がっ」


「俺かよ!」


そんな激しくした覚えは──。
ねぇ……よ←


「とにかく約束は守る。だから俺の言葉に甘えておけ」


まあ、確かに愛と今以上に長くいられんならそれにこしたことはねぇけど。


「じゃ甘えますっ」

「おいっ;」


お前、今どんな格好して俺に抱きついてんのか分かってんのか;?


「愛、服なおさねぇとまた襲われるぞ」


「え?」

「っ!」


あたしが顔を上げると真っ赤になって目頭を押さえてる隼人。片手はしっかりあたしを抱きしめてるところが彼らしいというか──。可愛いっ。


「隼人、イヤラシイ事考えてたでしょ?」


「な、違ぇよ!つか服着ろっ」


バッとあたしに服の袖を通させる隼人になされるまま袖を通して、着させてもらうとそのまま抱きついた。


ツナさんを狂わせてしまったのはきっとあたしなんだよね。


だったらあたしが責任持って助けるから。だから、いつもあたしの傍で笑っていてね隼人───









二人を守ると決めた一人の男と、教え子が深く狂ってしまうほどに愛してしまった女、そしてその女と愛し合う一人の男。


三人が結んだ絆は¨共犯者¨としてこれから始まるこの物語の核となる。




....
(やべ、ムラムラしてきた)
(ちょ、だ、ダメだからね!)




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