「何、群れてるの」 「ひィ這肇 「雲雀さん!」 時を同じくして、並盛中学では風紀委員長となった雲雀恭弥が、群れている数十名を咬み殺していた。 「弱い奴ほど群れたがる…」 なんの興味もなさそうに、倒れる残骸(←生きてます)を見下ろす雲雀の瞳は凍ったように冷たくて。 「相変わらずだな雲雀」 「?赤ん坊か…」 「チャオッス!」 そこに現れたのは、スーツに身を包んだ赤ん坊だった。 「…今日は何だい?」 雲雀はこの赤ん坊には気を許しているのか、さっきまでの殺気に満ちた気は無くなった。冷たかった瞳も、幾分か和らいだような気がする。 「お前、小せぇ時に別れたきりの女がいんだろ?」 「!…さあ?そんな昔のこと忘れたよ」 何事にも動じない雲雀がピクリと反応を示した。それを赤ん坊は見逃さない。 「まあいい、近々その女…ジャッポーネに帰ってくるぞ」 「!───」 「それだけだ、」 本当にそれだけ言い残して、赤ん坊は姿を消した。取り残された雲雀はその事実をただ愕然と受けて立ち尽くしていた。 ─帰ってくる? 「恭チャン!」 「……今更帰ってくるなんて…」 雲雀は壁により掛かり、自分の心とは正反対に碧く広がる青空を仰いだ。 ─どんな顔をして君に向き合えばいい? 脳裏を過ぎるのは別れ際の彼女の満面の笑み。八年も前の薄れかけた記憶の中の可憐な少女。 二人の再会が、この後とんでもない惨事を引き起こすなんて──、 そこから始まる二人の悲劇に近い恋愛が今、幕を上げた──。 |