腹黒カレシのお気に入り
2
「柏木先輩って最低なんですか〜?」
「…へ?」
窓のすぐ下には、胡座をかきながら、僕の事を見上げる、少年のような男の子がいた。
その男の子は、立ち上がると、窓を挟んだ形で僕に向き合って、愛らしい笑顔でさっきの質問の答えを待っているようだった。
「君は」
「あ、すみません!僕は、先輩と同じ理学部の一つ下の小鳥遊 御影(タカナシ ミカゲ)って言います。たまたま、此処に居たら、先輩の呟きが聞こえてしまって」
小鳥遊くん…か
凄く人懐っこそうで、可愛らしい。
同性にこう思うのは、おかしいかな。というか、失礼?
それに、顔をよく見ると、凄く整っていて、笑顔だから、可愛く思える。
「…笑顔」
「え?」
こんな風に笑えれば、人と話せるようになるのかな。
僕は、直感で思った。
この人に教えてもらいたい。
「…小鳥遊くん」
「は、はい」
「…僕に、色々教えてくれないだろうか」
そう、言うと小鳥遊くんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になると、
「もちろんですよ」
そうして、小鳥遊くんは人付き合い特訓の師匠になった。
けど、僕がお願いした時、驚いた顔をして、笑顔で了解してくれるあの一瞬の間に、少しだけ、違う表情が見えた気がしたのは、僕の気のせいだろうか…。
僕はまだ知らなかった。
人懐っこい小鳥遊くんの本性を…。
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