○○兼○○の人
トボトボ…
はぁ、頭が痛くなってきた
やっとあれから解放され、廊下を歩いていた
ホームシックにかかるとは思ってもみなかったですね…
あれから、数分座り込み気持ちを落ち着かせて、手を洗い、先ほど、理事長への挨拶を済ませた
梓さんと有紗さん…相変わらずだった…
『朱里たん!その格好はすごくいいよ、制服似合いすぎ!はぁ、私も学生に戻って朱里たんと学生したい!』
『朱里くんのその眼鏡の下にあの顔があると思うと!』
くそー!萌えるー!と容赦なしに高そうな机を拳でガンガン叩く2人はかなり怖かった
しかし、2人に構っている時間がなかったため、そんな2人を置いてそっと出てきてしまったが問題ないだろう
次は…
職員室!
急ぎましょうか
ガラァ
確か担任の名前は…
「すみません、黒崎先生はいらっしゃいますか?」
近くを歩いていた少し年配の男の先生に声を掛ける
「あー、ほら、あっちに座ってるのがそうだよ。入っても大丈夫だからねっ。」
指を指し、そう言って伝えると、資料を持って出ていってしまった
「ありがとうございます」
軽く頭を下げ、お礼を言う
いい人で良かったな…
ここまでまともな人に会ってこなかったせいで、普通の人がとても輝いて見えた、頭も若干…コホン…これは失礼
暫く、その人を見ていると
後ろからコツンとされる
「もももももも、もしかして、転校生?」
かなり挙動不審な声に振り返る
行動と声があまり一致しないがきっとこの人が担任の先生だろう
「はい、今日から転入してきました、真田朱里といいます。あなたが黒崎先生でいらっしゃいますか?」
そこには、自分達と同世代にしか見えない一人の青年が立っていた
短い前髪を自然に横に流し、青春しようよ!って言葉が似合いそうな雰囲気だった
かなり、爽やかですね
しかし、身長は見上げるくらい高い
「う、うん、じゃなくて、はい、さ、真田くんですよね?た、んにんの黒崎 あ、歩(あゆむ)です。たよりないけど、よ、宜しくお願いします!」
ガバッと頭を勢い良く頭を下げたため、頭と頭がぶつかってしまった
ゴツっと鈍い音が2人の脳内に駆け巡る
「たっ」
「いたっ!!」
二人同時に声を出す
「ごごごごごご、ごめん!真田くん!大丈夫?!痛かったよね?!すごい音なったもんね!た、たんこぶとか出来てない?」
あわあわしながら、俺の頭をがっと掴むと大きな手でたんこぶを探す
「先生、大丈夫ですよ、そんなに慌てないでください。」
相手の手首を掴み制止する
「ほんと、ごめん!僕でも痛かったから、真田くん絶対痛いよ!」
シュンとしながらよしよしと頭を撫でられる
なんかこっちが悪い気がしてきましたね…
けど、なんか和みます
「先生、気にしないで下さい。俺は大丈夫ですよ?」
確かに痛かったがわざとではないのは分かる
「ほんとごめん…僕、ここが初めての赴任先で周りはお坊ちゃんばっかりだし、こんな性格だから、馴染めなくて…真田くん!良かったら、た、たまに!ほんとたまにでいいから!僕の話相手になってくれない?」
生徒の俺に?しかも、転校生ですし。
そんなに馴染めないほど…なんですかね?
少し考えた
だが、地味な俺の方が話しやすい事もあるでしょうし、色々情報も聞けそうですしね
「俺でよければいいですよ」
そう可愛げのない返事したが、
先生はぱぁと表情を明るくし
「ほんとに!?やった!あんまり、担任らしくないけど真田くんは友達感覚でいいから!じゃ、早速教室…あっ」
手をあわあわさせると
「出席簿とか日誌忘れちゃったから、とってきますね!廊下で待ってて!」
本当に先生とは思えないドジっ子ですね
黙っていれば、何でもこなせる大人の人には見えるんですが
カチャッと眼鏡を直して言われた通り、廊下に出て大人しく待つことにした
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