04
湘里に覆い被さるような体制になってしまった俺の目の前には、男らしい広い胸板が広がっている
引っ張った俺の手を自分の頬にスリスリと擦り付ける兄の姿
もう片方の腕はしっかりと腰をホールドしていた
「兄さんっ…」
なんとかその腕から逃れようと相手の胸板に手を付き、押し返してみるものの、勝ち目がない
俺は168cmと高1の男子では平均な方ではあるが、高3で180cm以上ある兄には、力でも体格でも勝てるはずもなかった
しかも、片手は湘里の頬にスリスリされているため片方の手で押し返しており、さらに力は半減する
そんな兄に呆れていると、
「朱里おはよう、相変わらずスベスベの肌に滑らかな腰だな」
そういうと、腰もスベスベし出す湘里
「お尻もかわいい」
調子にのったのか、今度はお尻までスベスベしてきた
そろそろ我慢の限界だった
できるだけ冷たくつぶやく
「これ以上、起きなかったり、触ったり、変態発言をするようであれば、俺、二度と兄さんとは、口をききませんし、一生無視します」
すると…
スベスベしていた手がピタッと止まった
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しばらくの沈黙が流れる
「すまん、寝ぼけていた」
毎朝寝ぼけてセクハラしてくる兄だが、前に警戒してドアの方から声だけで起こしてみたが、、、、、全く起きなかった
母にも父にもやってもらったけど、結果は同じ
最近は生徒会の仕事が忙しく、朝が早かったため、起こす必要がなかった
なので、俺は油断していた危ない危ない
謝った後も離す様子がなかったので、
離して下さいと腕を解くと起き上がった
しかし、朱里は知らなかった
兄が寝ぼけてではなく、狸寝入りをして朱里を待ち構えてセクハラしていることに
さすが親子としか言いようがないことに
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