DARKSOULSV〜残り火に惹かれる者〜
第一話
そこは、墓所。
ほとんどと言って良いほど色のない、
灰色に近い墓所。
故に、此処を知るものは皆、
「灰の墓所」
と呼ぶ。
その墓所に置かれた1つの棺がギシリ、と音を立てた。少しだけ揺れると、表面に被った埃を巻き上げながら蓋が開いた。
中から出てきたのは亡者である。いや、亡者と言うべきか、火の無き灰、と呼ぶのが相応しいだろう、この絶望の世界に存在し、また蘇るのは、大体亡者であるが、灰の墓所には、亡者さえ近づかない。
故に亡者が灰の墓所から亡者が蘇る事はない。
この火の無き灰には
何故ここにいるのか、ここがどこなのかは全く訳のわからない事だった。
ただ、わかる事は、自分が蘇る前、又は生きていた時は騎士として服従していた、という事実だけであった。
「ここは...どこだ...。俺はどこへ行けば良いんだ。わからない...ただ...不思議な感じだ。この道の先に、何かが待っている...そこに行けば、何かわかるかもしれない...」
何の根拠も無く、とても中身のない理由で、行き先を決める。やはりこの男は火の無き灰として、何の理由もなくただ、残り火に惹かれているのだろう
か。
岩の崖に挟まれた細い道を、その火の無き灰は歩き始めた。
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