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小説「寂寥の追憶」
5日 金 AM6:35
 「ん、・・・・げっ、もうこんな時間!」
 親父が来て、俺は学校があるから昨日はとりあえず帰ってきた。寝たのは1時頃だったけど、兄貴のことが気になってあまり寝られなかった。
 「ふぁー。おはよう、コンラッド」
 「おはよう、裕太。今日はまた一段と眠そうだな」
 「うん、兄貴のことが気になってなかなか寝付けなかったよ。そういえば、兄貴の容体は?意識、戻った?」
 少し暗い顔をして首を横に振る。
 「容体は安定しているけど、意識はまだ・・・」
 「・・・・・・そう」
 「そう憂鬱そうな顔するな。少しの辛抱だ、じきに目覚めるよ」
 「そう・・・だよな」
あまり気にしていてもしょうがないと思い直し、時計を見ると時間が少なくなっていた。急がないと遅刻してしまう。
 「じゃ、いってきます!」
 急いでご飯をかきこんで、家を出た。まだ少し余裕はあると思うけど、念のために走ったほうがいいだろう。

 キーンコーンカーンコーン―――・・・・・・
 何とか間に合った。走ってホント、よかった。
 「・・・疲れたー」
 「めずらしいな、裕太がギリギリなんて。あっ、もしかして寝坊したとか?」
 「そうじゃねぇ、俺が寝坊なんてありえねぇよ!というより隼人。この俺がおもいっきり寝坊して遅刻したことあるか?」
 「そうだよな。お前って、遅刻も欠席も早退も今のところ0だよな。じゃあ、なんでだよ?」
 「ちょっとな・・・・」
 言葉を濁すと首を傾げて目で問うてくる。けれども、担任が入ってきたので結局、何も聞かずに席に戻っていった。
 今日もいつも通りの授業・・・・・・のはずなのに、兄貴のことが気になって集中できない。
 「―――君、――太君、裕太君!」
 「!あっ、はい」
 「どうしたの?早く前に出てこの問題、解いて」
 「すいません、聞いてませんでした」
 「しっかりしてよ。ま、いいわ、かわりに―――」
 前を向いていても、いつのまにか空を見ながらボーッとしてしまう。授業が終わって休み時間になっても兄貴のことが頭から離れない。もし兄貴の意識が戻ったら携帯に連絡くれるって言っていたけど、昼を過ぎてもなかなか鳴らなかった。

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あきゅろす。
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