小説「寂寥の追憶」
2話「突然の別れ」 PM8:00
コンラッドと共に病院に向かっているときも、俺の頭の中は真っ白で、何が何だかわからなかった。あの兄貴が事故るなんて、信じられなかった。免許を取ってから、事故どころか違反でさえなかったのに。(というかそれが当たり前。)
「どうして」
何回も繰り返し呟いた。そうこうしているうちに病院に着いた。兄貴はまだ集中治療室にいた。しばらく待っていると、“手術中”が消え、医師が出てきた。
「まだ予断を許しませんが、安定しているのでとりあえずは大丈夫です」
「はー、よかったな、裕太」
「・・・・・・うん」
兄貴が出てきて顔を見ることができ、俺はようやく安堵した。それからすぐに青森にいる親父に電話した。
「もしもし、親父?」
「どうした?めずらしいな、お前が電話してくるなんて」
「親父、実は・・・・・・兄貴が交通事故にあった。だから、すぐに帰ってこれない?」
「!それは本当か?わかった、明日の朝までには着けると思う」
「うん、わかった。なるべく早く帰ってきて」
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