BASARA
壱
こんな時にふと思う。
どうして、そなたは某を選んだのだろうかと…
逢瀬の最中に、そう考えては失礼という事は存じ上げている。
だが、不安になるのだ。
あまりにも人懐こい笑顔のそなたの元に沢山の人が集まるから…
この中に、そなたを好いている者もいるかもしれない。
そなたの気に入るお人がいるかもしれない。
そう考えると、何故某を選んだのか、某はここにいていいのかと不安になるのだ。
「何考えてんだ?俺といてつまらないのかい?」
「そっ…そんな事ないでござるっ!!そんな…ことは…」
「そんな事なさそうだぞ?」
某は嘘は下手だ。
でも…、答えを聞いて否定されるのは嫌でござる。
抱かれれば不安はなくなるのか?
ならば…
「…抱いて欲しいでござる」
「えっ!?今?」
「そう……今がいい。今すぐにでもっ!!」
「どうしたんだいっ!!それこそ変だ。幸村、今日は……」
わかってる。
いつもは慶次殿から誘ってくる。それが今は某が…、無理を言ってるのだろうか…
目頭が熱くなる。
すると突然、頭をぽんぽんと叩き「何があったかわからないけど、幸村からそう言ってもらえるなんて嬉しいよ」
「慶次殿…」
優しく抱きしめてくれた
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