Barcarola de Tramonto
8
トモに初めて会ったのは高校に入ってすぐだった。
俺の高校は公立の進学校と言われるようなところだった。かといってがり勉タイプが多かったかというと、そうでもなかった。遊ぶときはとことん遊ぶやつが大半だったように思う。
俺と彼女は隣の席だった。たまたま名簿が近かったのだ。
「あたしは芹澤智香。よろしくね。」
「あ、うん。辰巳悠です。こちらこそ。」
これが最初の会話だった。ありきたりな自己紹介。これ以後は何故かあまり話す機会もなく、特に何か話した記憶はない。まともに会話したのは、暫く経ってから、それも、今思えばかなり変わった発言がきっかけだった。
俺は話し掛けられれば答えはするものの、自分から話題を振ることはほとんどなかった。この時も、俺は周りに適当に合わせつつ、どこか傍観者を決め込んでいた。そんなときだった。彼女が俺に話しかけたのは。
「あんたさ、さっきから相槌しか打たないよね。何か話題振れば?」
簡単な自己紹介以外はほとんど会話していなかったトモにいきなりそんなことを言われたものだから、正直驚いた。変わってる、というか、かなり気の強い子だ、と思ったのが、最初だった。相当きついことを言われたはずなのだが、不思議とあまり腹は立たなかった。今まで周りにいなかったような子だったから逆に新鮮だったのかもしれない。
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