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Barcarola de Tramonto
18
久々の再開という事で話も弾み、俺達は俺がいつも降りる駅の2つ手前で下車し、学生時代によく通っていた安くてうまい焼き鳥の店に行くことにした。

もうかれこれ5年以上は経っているというのに、学生時代とほとんど変わらない店の雰囲気や仏頂面で焼き鳥を焼く親父の姿に妙に安心し、カウンター席に腰を下ろす。

ビールと焼酎、それに焼き鳥の盛り合わせを注文し、それを片手に乾は口を開く。

「こうしてみると、学生時代に戻ったみたいだよな」

あの頃はよかった、もっと遊んでおくべきだったなどと今となってはもう戻れない学生生活に思いを馳せる。そう、学生時代は楽しかった。大学では友達とふざけ合って、くだらないことに時間裂いたりして…。そしてもう一つ、あの頃俺の隣にはトモがいたから。

「そういや、お前外資系に就職したんだったよな。いいよなあ、エリート様は。で、どうだ、仕事のほうは?やっぱ、給料いいのか?」

―また、始まった。過剰な羨望というのは時に凶器だ。人を傷つける。その上無邪気なだけに、余計に達が悪い。それは、お前が努力しなかっただけだろうと思ったが、その言葉は口に含んだビールと一緒に呑み下した。

「はは、お前だって一流の商社じゃないか。」

相手の自尊心をくすぐる一言と、貼り付ける、得意の愛想笑い。焼き鳥を焼く親父の顔が炭火の煙に霞む。

「だけどさー…」

まんざらでもない様子で口をとがらせる乾。仕事が大変だの、上司が厳しいだの、取引先がうるさいだの、どこにでもいるサラリーマンの愚痴は続く。乾はほんのりと目元を赤く染めながら酒を呷り続ける。俺は焼き鳥をつまみながらそんな話を聞いていた。熱心に語る男をふと見ると、乾の節くれだった指、そこにはまる銀の指輪。

「お前、それ―」

ん?ああ、これか?と俺の視線に気付き証を掲げる乾。

「そ、俺さ、結婚するんだよ。」




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あきゅろす。
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