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笑顔に変わる

あれから私は少し席を離れて、気の会いそうな女の子達とおしゃべりをした。
本当にみんないい人達で「これからよろしくね―!!」なんて言ってくれて、話しかけたときのドキドキもあったけれど、それとは違う暖かい気持ちになれた。
よ、よし!!高校生らしいぞ…!!
出身中学を言った時、みんなぽかんとしてたけど、仕方ない、田舎だったんだ。

「そういえばアイリちゃんの両隣の男子、格好いいよね〜」
「だよね!!アイリちゃんうらやましい―!!」
「でも私はシュヴァーン先生かなぁ!」
「えーどうだか―」

きゃっきゃっと盛り上がるみんなを横目に、私はさっき知り合ったばかりの二人を見てみた。

「ねぇねぇ、名前なんて言うの〜?」
「寝てないで起きてよ〜」

本を読むフレンに、キャバ嬢よろしく、くねくね迫る女の子と、突っ伏して寝てるユーリを起こそうと、ユーリの肩をゆさゆさ揺らす子をみて、私はなんだか恥ずかしくなった。
そ、そうだよね…!!あんな男前な二人の隣がこんな私なんて、うぁぁ…!!ごめんなさい…!!

ユーリは気にせず寝てるけど、フレンはやっぱり王子様体質なのか一応笑いかけてる。フ、フレン凄いなぁ…!!

「席に着け。HRを始めるぞ」

シュヴァーン先生が入って来たため、ばらばらと各席に戻る。
私も席に戻れば、さっきの女の子達が一瞬こっちを見た気がして、うわ…!!ちょ、視線が怖い…!!
目を反らすようにフレンを見れば、彼も心なしかホッとしたように見えた。

「フレン、お、お疲れ〜」
「あぁ、アイリ。見てた?」
「う、うん。なんか申し訳ないよ、フレンごめっ、ごめんね、」
「どうして謝るんだい?」
「…あ、ううん。ごめん、なんでもない」
「…そう」

なんだか悲しくなって、涙が出そうになった。
だってみんな可愛くて、でも私は違がくて、ぅわ、私凄い惨めなんじゃ…!!
どうしようもなくなって机に置いた両手をぎゅうぎゅう痛いくらいに握った。
諸連絡を言ってるシュヴァーン先生の声が遠くに聞こえる、

「…なぁ」
「え…?」

寝ていると思っていたユーリが、その体勢のまま顔を上げてこっちを見ていた。

「何がそんな不安なんだ?」
「ど、して…」
「どうしてって言われても、んな泣きそうな顔されれば、気にするだろ、普通」
「あ……」
「何がそんなに悲しいのか知らねーけど」

言ってユーリは、いつの間にかしわの寄っていた私の眉間をぐっ、と指で押した。

「とりあえず、笑っとけ」

とんっ、と軽く押されると同時に、心までほわっと軽くなるのが分かった。

「…ユーリは」
「…ん?」
「ユーリは、魔法使いみたいだね」
「……は?」

「ありがとう」と言うとユーリは微妙な顔をしていた。
鬼畜なんて思ってごめんなさい、そうだよね…!!先入観だけで人を決めつけちゃ駄目だよね…!!
はぁ、とユーリが隣でため息をついたのが分かったけれど、それはシュヴァーン先生の声でかき消された。

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入学式の当初から、思ってたけどこいつは、いろいろ顔に出過ぎだと思う。
嬉しそうな顔したり、かと思ったら泣きそうな顔になったり、そりゃ表情豊かに越したことねーけど、豊か過ぎるってのも考えもんだ。

「…ユーリは魔法使いみたいだね」

飄々と言ってのけた言葉に一瞬くらりと目眩がした。こいつはただのバカなんじゃねぇのか…?!
その会話が聞こえていたであろうフレンは、笑いを堪えているようで肩が震えていた。く、そ…!!フレンの野郎覚えとけ…!!

ちらり、盗み見たアイリが笑顔だから、俺はまた、ため息ついた。




「(やぁ、魔法使いユーリ)」
「(どうも、フレン王子様)」
「(………)」
「(……)」

「(二人とも仲良しなんだなぁ…)」


天然主人公ちゃん…!!

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あきゅろす。
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