こんな雨の日には
本日は全国的に雨になるでしょう。
お出かけの際には傘を持って行った方がいいですね。
二度目の延期となったロケの早朝。
ホテルの備え付けのテレビから流れる天気予報。アナウンサーが淡々と伝えると交通情報の画面に切り替わった。
カーテン越しの窓からはしとしとと小雨の気配が感じられて、起きたばかりの布団に再び潜り込む。
今日も雨だって、と言ったらどんな顔するかな。
まだ夢の中の若林の寝顔を見つめながら、思う。
すやすや眠る顔は一層幼く見える。とてもこの可愛らしい顔が罵声を吐くには見えないのに、と何万回と繰り返した呟きが頭を過る。
暗めの茶髪を撫でまわしているとうざったそうに眉をしかめた。
あ、起こしたかしら?
手をゆっくり背中にまわすと再び寝息が聞こえてくる。
赤ん坊をあらすように背中をぽんぽんと叩く。
昔より少し肉付きのよくなった体は自分と同じ石鹸の匂いがした。
「…また、雨ですよ」
昔から変わらない。
若林の寝顔も、寝癖も、
ロケの日は必ず雨になるということも。
これで起きた若林に雨であることを伝えたらきっと何も言わずに眉をしかめる。
そうしたら中止になったロケの時間のあいだ、思いっきり機嫌を取ってあげよう。
このやりとりもなんら昔と変わっていなくて、ここまで雨男であり続ける彼に少し笑ってしまう。
アラームが鳴るまで、もう少し。
寝起きの悪い相方をどうやって起こそうかな、と柔らかい茶髪に顔を埋めた。
こんな雨の日には
(ふたりでゆっくりしましょうね)
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最近のツイン部屋とかダブルベット発言を聞いてひとつの布団に大鳥がいるなんて、と不埒な妄想が止まりません
お題元:確かに恋だった
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