F l a v o r e d T e a キミオモウ、 初めて俺たちのプレーを見たならともかく、部長は中学時代の俺たちを知っている。 だから現役のような連携プレーに見えたのは晴渡の頑張りがあったからだと、わかっているはずだ。 俺のことまで褒めるような台詞をさらっと口にしないでほしい。 その大きな身体で俺や晴渡には到底出来ないプレーをする部長に言われたら、余計に恥ずかしいじゃないか。 俺はこそばい気持ちを誤魔化すようにコートへ視線を向ける。 丁度、晴渡がパスをキャッチするところだった。入れば三点の、スリーポイントエリア。 「晴渡、打て!!」 「はいっ!」 「入れッ」 心地良い音をたててボールがネットを潜り抜ける。 「っしゃ! ナイッシュー!!」 「晴渡、ナイッシューッ!!」 「先輩っ、ナイスパスです!!」 見事にスリーポイントを決めた晴渡はパスを出した先輩と笑顔でハイタッチ。 それから同じチームの先輩たちに綿菓子のような髪を一度ずつ撫でられている。 その、光景が、中学時代の練習風景と、重なって。 ――――ああ、そうか。 「瀬戸、疲れたんなら先に帰ってもいいんだぞ? 川上には俺から言っておくし」 タイミングよく投げ掛けられた言葉に、微笑が浮かんだ。 「いえ、最後までいます」 「‥強引に連れて来られたんだろ? ワンゲームやったんだし、別に最後まで無理して付き合わなくても…」 「いいんです。無理なんてしてませんから」 「……………」 右頬に何か言いたげな部長の視線を感じる。 それでも俺は晴渡から目を離さなかった。 「今、見てて気付いたんです。俺を強引に引き摺ってくるほどストレス溜めてたんだ、って」 「え…」 NEXT * CHAP |