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わかっていた終わり。03

イクチヨモ、カナシキヒトヲ。


 けれど、何に対しても執着出来ないという事実に絶望したことはない。

 俺ってやっぱりおかしいよな、とは思っても、どうして俺には執着心がないんだ、と苦悩することはなかった。

 むしろ、ノイローゼになったり自殺したくなるほど真剣に悩んだりしないのは執着心がないからなんじゃないのか、って考えて、面白く感じることさえあったくらいだ。

 だから変わろうと思ったことはないし、変わらなきゃいけないと思ったこともない。

 それなりに喜怒哀楽の感情を持っていたから日常生活で不便に思うことも特にはなく、面倒臭がりやの俺は自分から何かをしようとはしなかった。


 でも、「変われたらいいのにな」という気持ちは、いつも心のどこかにあったから。


 ―― 俺 の モ ノ に な れ よ ――


 アキという存在に、少しだけ期待してしまった。




 言うまでもなく俺は男で、アキも男だ。
 違う箇所を挙げればキリがないが、染色体は同じXY。
 それでも俺たちの関係は、所謂「恋人」。

 俺は今、その恋人に別れを告げる為に歩いている。


 アキは同じ人間であることを疑いたくなるほどの美形だ。
 おまけに体格にも恵まれていて、頭脳も財力も持っている。

 誰もが欲しがるものを全て持っているアキは、だからこそ相手に困らない。

 年下でも、年上でも。
 男でも、女でも。

 平凡な俺を口説き、付き合うようになってからセックスをするまでの間は、アキもセフレとの関係を控えていた。
 愛されるってこういうことか、なんて客観的な観察が出来るほど、特別に扱われたこともある。

 だけど、アキは黙って立っていても色気タップリの美女やら美形やらに迫られるくらい、魅力に溢れた男。

 平凡な俺一人に満足するはずがない。


 俺の予想を裏切らず、下半身野郎は俺を抱いて一週間も経たない内に、豊満な美女と一夜を共にした。





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あきゅろす。
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