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わかっていた終わり。02

イクチヨモ、カナシキヒトヲ。


 何十億ものホモサピエンスが生活するこの世界で個人を確立する、『性格』。

 人を形作る基盤となる『性格』は、だからこそそう簡単に変えられるものじゃない。

 周囲から影響を受け、知らず知らずの内に変わっているというのはよくある話だが、自分の理想通りに変われるということは滅多にない。

 今までの生活で俺は充分過ぎるほどにそれを実感した。

 簡単に変われるほど人間が都合よく出来ていないことは、よくわかってた。

 ―――それでも。


「変われるかもしれない、って……。思ったんだよなあ」




 自分が周りと違うということに気付いたのは、結構前のことだ。
 多分、小学校中学年の時。

 テレビゲームやサッカー、お絵描きやピアノ。
 クラスメイトは色んなことに興味を抱いてはしゃいでいたのに、俺には心を躍らせるものが何もなかった。

 道徳の時間に『今、ぼくが夢中になっていること』という題で作文を書けと言われ、頭痛を催しながら放課後まで居残った記憶は今でも薄れていない。


 最初はただ単に、興味・関心・意欲に欠けているだけだと思った。
 要するに自分は「つまらない人間」なのだ、と。

 でも、違った。

 勉強、スポーツ、恋愛、芸術……。
 中学に入学すると学校生活がガラリと変わり、真新しい物事に心を惹かれることは何度かあった。
 凄いなとかやってみたいなとか、興味を持つこともあった。

 …けれど、クラスメイトのように真剣になったり、熱中したりするということはなかった。
 いや、『出来なかった』と表現する方が正しいのだろう。

 心を惹かれても、すぐに飽きる。
 興味を持っても、それが継続しない。


 不確かながらも将来の夢について語るクラスメイトを前に、俺は自分に欠けているものが「執着心」だと知って。

 そして――――、


 自分が「普通」でないことを理解した。





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