イクチヨモ、カナシキヒトヲ。 何十億ものホモサピエンスが生活するこの世界で個人を確立する、『性格』。 人を形作る基盤となる『性格』は、だからこそそう簡単に変えられるものじゃない。 周囲から影響を受け、知らず知らずの内に変わっているというのはよくある話だが、自分の理想通りに変われるということは滅多にない。 今までの生活で俺は充分過ぎるほどにそれを実感した。 簡単に変われるほど人間が都合よく出来ていないことは、よくわかってた。 ―――それでも。 「変われるかもしれない、って……。思ったんだよなあ」 自分が周りと違うということに気付いたのは、結構前のことだ。 多分、小学校中学年の時。 テレビゲームやサッカー、お絵描きやピアノ。 クラスメイトは色んなことに興味を抱いてはしゃいでいたのに、俺には心を躍らせるものが何もなかった。 道徳の時間に『今、ぼくが夢中になっていること』という題で作文を書けと言われ、頭痛を催しながら放課後まで居残った記憶は今でも薄れていない。 最初はただ単に、興味・関心・意欲に欠けているだけだと思った。 要するに自分は「つまらない人間」なのだ、と。 でも、違った。 勉強、スポーツ、恋愛、芸術……。 中学に入学すると学校生活がガラリと変わり、真新しい物事に心を惹かれることは何度かあった。 凄いなとかやってみたいなとか、興味を持つこともあった。 …けれど、クラスメイトのように真剣になったり、熱中したりするということはなかった。 いや、『出来なかった』と表現する方が正しいのだろう。 心を惹かれても、すぐに飽きる。 興味を持っても、それが継続しない。 不確かながらも将来の夢について語るクラスメイトを前に、俺は自分に欠けているものが「執着心」だと知って。 そして――――、 自分が「普通」でないことを理解した。 NEXT * CHAP |