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それは夢の様な現実

貰って嬉しい言葉。
それが彼の口から紡がれて、
私は何も考えられなくなるんです。


「う、そです!!」

「嘘じゃねぇ。」

「いいえ、これは夢です!!」

「夢なんかじゃねぇんだよ!!」

ねぇ、これは夢なんでしょう?
ハルが哀しくて辛いから勝手に造り出してしまった自分に都合の良い残酷な夢物語なんですよね?
ねぇ、お願いです!!
誰か、ニセモノだって言って下さい!!

余りの現実味の無い自分自信に、助けを求めるようにしてツナさんに目を向けると
彼は苦笑していて
『夢なんかじゃないよ』
って口パクで言っていました。

あぁ、これは本当にリアルなんですか?
だって、彼が向き合うなんてどうしちゃったんですか?

ハルは彼が昔言ってたようにアホ女だから、隼人さんの気まぐれで言ったのかもしれない言葉を

信じて

喜んで

自惚れて

舞い上がって

周りの事なんか嬉しさで見えなくなっちゃいますよ?絶対。
もし、これが夢だったなら
目が覚めても隼人さんは他人行儀で時間だけ速く感じながら過ごして。
やっぱりアレは夢オチでした〜。
なんて笑ってもの悲しくなってそれで変化なしの一日がハルの中で出来上がりのなんですよ?



―――――………



「………ル、…ハル!!」

「はひッ!?」

今、誰がハルの名前を読んだような…。
ゴチンッと良い音を発ててハルの頭は壁にクリーンヒットです。
そしてオプションに尻餅までついちゃいました。

「ったぁ〜〜〜」

「あーぁ、だからさっきから危ないって言ってんのに…。アンタ聴いてなかったでしょ!!」

少し呆れた様にモノ言いをする黒髪を軽くウェーブさせたショートカットの女性。

「はひっ!?花ちゃん!!」

「あぁ、私が此処にいるのは…呼ばれたのよ、沢田に。」

「はひっ!?ツナさんに、ですか?」

小さく溜め息を吐きながら花ちゃんは、ハルへの説明の延長に
態々平日に呼びださなくても…。
とか
少ない有休使っちゃったじゃない。
とか
休みの理由が今一だったわ
とか…、彼女らしい愚痴を呟いてます。

「あの、一体どうしたんですか?」

「はぁ。何だか良く解んないのよ。突然連絡来て、ヒバード追ってアジトまで来るようにとか…。」

「はあ。花ちゃんも大変なんですね」

「ホントよ!!そういえば…ハル、アンタさぁアレ拾わなくて良いわけ?」

花ちゃんの示した指の先、廊下に散乱する書類の数々。

「はひーっ!?大変ですっ!!この書類はシャマル先生にツナさんの執務室へと頼まれたものなのに…。」

「げ!?」

書類を慌てて拾う途中。
思わず目を見張るような項目を発見。

『獄寺隼人 記憶障害経過報告書』




気付いてしまったんです
落としたモノは
爆弾でした。



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