▽本棚
夢魔@ (*ちとたち)
インキュバス千歳×桔平
(夢魔パラレル)※性描写あり
夢魔のうち、男性型のインクブス(英語でインキュバス)は
睡眠中の女性を襲い精液を注ぎ込み、悪魔の子を妊娠させる。
自分と性交したくてたまらなくさせるために、襲われる人の理想の異性像で現れる。
そのため、その誘惑を拒否することは非常 に困難だった。
一説にはインクブスと スクブスは同一の存在であり、自身に生殖能力 が無いため、
人間男性の精液を奪って人間女性 を妊娠させ、繁殖しているとされる。(Wiki引用)
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”いろんな人間の夢を渡り歩いて、肌を重ねあう”
この世界に生まれ落ちた瞬間から、それが俺の仕事だった。
そこに愛などない。ましてや恋なんて存在しない。
所詮は、俺たち魔族の繁殖の為の行為である。
今日も、背中に生えた黒い翼を広げ真夜中の街へと飛び立つ。
****
寝静まった住宅街。
若い女を探して、一つ一つ家を覗いて回る。
「いっちょん、よか女が見つからんばいねぇ…」
結構な数の家を回ったのだが、
どの家の寝室を覗いても、年のいった女や容姿が今一つな女しかいない。
特に美人が好きという訳ではないし、女なら誰だっていいのだが…
最後に回った家で、若くて美しい女を見つけた。
「なかなかのべっぴんさんがおるたい…」
茶色の綺麗な髪を撫でて、彼女の顔をしばらく眺めた。
この子でもいいのだが…少し若すぎる。
まだ13、4歳かそこらだろう。
しばらく悩んでいると、ふと彼女の枕元に置かれた写真が目に入った。
家族4人の写真。彼女の横にいる兄らしき少年の顔に目が釘付けになった。
「ふーん、兄妹揃ってなかなかの顔立ちしとっとね…」
金色の長い髪の、
真っ直ぐで綺麗な瞳をしたその少年。
一目見るのも悪くないか…
俺は、その少年のいる部屋へと向かった。
先ほどの部屋と比べれば、かなり殺風景な部屋に彼はいた。
静かだが、規則正しい寝息を立てて眠っている。
そっと近づき、顔を覗き込む…見れば見るほど好みの顔である。
しかし、男なのだ。いや、もうこの際男でいい…
この男から精をもらっていけばいい。
そう自分に言い聞かせて、彼の布団に潜り込む。
閉じられた唇にやさしくキスを落として、寝間着のハーフパンツに手をかける。
彼自身を取り出し、先を指でゆるく弄ると
「んっ…」と小さな声が聞こえた。
今頃夢の中で、自分好みの女を抱いているはずだ。
まさか現実で男の俺に扱かれているなんて思いもしないだろう。
徐々に熱を持ち固くなり始めたそれを口に含み、いやらしい水音を立てながら吸い上げる。
「んぅ…や…あンッ…!」
迫りくる快感に身をよじる彼の顔がいやらしくて、可愛くて…俺は彼自身をしゃぶりながら、その顔を見て興奮した。
もっと乱れた顔が見たい…
そんな考えがよぎった瞬間、胸の奥でなんだかよく分からない感情が芽生えた。
「んっ…く、あ…ああッ!!」
彼の体がのけ反るのと同時に、俺の口に熱い精が流れこんできた。
ゴクッと喉を鳴らして飲み干して、まだ荒い息をしている彼の顔に見とれていると、
その瞼がゆっくり開かれた。
「おはよう」
寝起きでぼんやりしている彼に笑顔で声をかけると、何度か瞬きをして俺の顔を見る。
あの写真の通りの綺麗な瞳を丸くする。
「っ!!きさん、どっから入っ…!!」
とっさにその口を塞いで、起き上がろうとした彼をベットに押し付けた。
「騒ぐんじゃなか…妹がどうなってもよかと?」
必死に抵抗しようとした彼の手から力が抜けた。
…どうやら妹に弱いらしい。
塞いでいた手をどけても、叫ぶような気配はない。
「俺は夢魔…インキュバスばい。今きさんが騒いだらあの可愛か妹、ただじゃ済まさんよ?」
「妹に手を出すのは許さん…絶対に」
「まあ、きさんが俺ん要求を飲めば絶対に手は出さんよ?」
「何が望みばい?」
「きさんを抱きたか…」
「…!!」
この胸の奥に巣くう今まで知らなかった感情が、彼を欲しがる。
「俺は、男ばい」
「そぎゃんこつ知っとう、俺はきさんに興味があっと」
「…物好きな悪魔もおるもんだな」
「”変わっとる”とはよう言われるたい。俺んこつは”千歳”って読びっせ。きさんの名前は?」
「桔平だ」
「桔平…ね。で、どぎゃんすっと?妹の為に俺に抱かれっと?」
「妹に絶対に手を出さないと約束できっとなら…な」
「約束は必ず守るばい、桔平」
桔平の顔を両手でやさしく包んで、キスをする。
視界の端で長いまつ毛が震えていのが見えた。
かわいかぁ…
軽く閉じられた唇に舌を這わすと小さな声が漏れた。
その隙間から舌を入れるとビクリと震えて、俺の舌を押し出すように桔平が舌を押し付けてくる。
その抵抗が逆にそそられるとも知らずに…
「ふ、んぅ…ふぁ…」
お互いの舌を絡ませ、吸い上げ、逃げようとする桔平の頭を押さえて唾液を流し込む。
「んーんっ…!!」
含みきれず口端に残った唾液を指で拭ってやると、桔平は潤んだ瞳で俺を見上げた。
「桔平、コレ舐めて」
桔平を起き上がらせ、俺は兆しを見せている自身を取り出す。
一瞬怯んだように見えたが、妹のことを思い出したのだろう、自ら顔を近づけてぎこちなく舐めはじめた。
「ん、上手ばい、きっぺ…」
金色の長い髪を梳いて、耳にかけてやると俺自身を一生懸命に舐める顔がよく見える。
紅い舌が、紅潮した頬が艶めかしくて、つい生唾を飲み込んだ。
「桔平、もう…よかよ」
俺自身から唇を離して口周りを拭うと、俺は桔平を抱きしめる。
桔平の胸に顔を埋めると、桔平は優しく俺の髪を撫でてくれた。
胸の奥が締め付けられる…なんで?なんだかとても苦しくて、桔平を抱きしめる腕に力が入る。
「どうした、千歳…」
「ん…なんでんなかよ…」
その瞳を見つめるだけでドキドキしてしまう。
さっきより桔平の顔がはっきりと見える。
ハッとして、窓の方を見ると外が段々と明るくなってきたことに気が付いた。
俺たち悪魔は、夜明け前に帰らなければならないのだ…
「千歳?」
「桔平、必ずまた来るばい」
ちゅっと軽いキスをして、俺は桔平の前から消えた。
――――――――――――
まだ続きます。
2012.04.29
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