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▽本棚
妖花3(*ちとたち+木手)


*ちとたち+木手
*途中から3P




グシャリと丸めた原稿用紙を屑籠に向けて投げる。

昨夜から繰り返している動作にもう飽き飽きしているのだが、筆は滑らかには進んでくれない。


「はぁ……チッ」


完全に詰まった。
マッチと煙管を持って中庭に出ようと
障子を開けると、桔平が湯呑みと急須を乗せた盆を持って立っていた。
桔平は、俺の手元を見て僅かに眉をひそめた。
煙管の煙が嫌いなのだ。



「ちょっと一服してくったい。
盆ごと書斎に置いといてよかよ…」


「…はい」


桔平に背を向け、中庭の方へ。

我が家の中庭は小さいものの、
時々庭師を呼んで手入れをさせているお陰で、四季折々の花が美しく咲いている。


隣町の「天才」と呼ばれる庭師。
不二という男で、女のような美しい容姿をしているが、変わり者でなかなかの食わせ物だ。
(しかも桔平のことを大層気に入っていて、
いつも手間代をまけてくれるのだ。)




煙管に火をつけて、白い煙を吐き出す。
別に美味くはないが不味くもない。
ただ、この籠もり淀んだ不満やわだかまりなんかが、煙と一緒に身体の外へ出て空に消えていくような気がする。
だからつい、原稿が詰まった時に吸ってしまうのだ。


煙を吐ききってから、そっと目を閉じると
ある場景が浮かんだ。


歩いてくる人物。多分、木手くんだろう。
我が家の門の前で止まった。
締め切り前に様子を見にきたとや?

それは約10分後に起きる出来事だ。


「ふーん…なるほど」



私は煙管の火の始末をして、桔平がいる台所へと向かった。








台所ののれんをくぐると、
桔平は食器を洗ったり、自分が愛用してる包丁なんかの手入れをしていた。

その油断している後ろ姿を確認し、そっと近付いて抱きしめる。


「っ!?旦那様…どうかしましたか?」


耳殻に舌を這わせ息を吹きかけると、腕の中の身体は小さな反応を示す。


「きっぺ、たのしか事しよ?」


帯に左手を入れて少し緩め、ずれた着物の前から右手を忍び込ませる。

つん、と主張する突起を指で撫でたり潰すように押すと、たまらないのか桔平の口から僅かに声が漏れる。


「あっ……やめ、」


晒された白い項に啄むように口づけると、
くすぐったいのか、身を捩る。


「桔平、顔こっち向けて?」


私の方へ振り向いた桔平の唇を塞ぐと、
目を閉じたまま、嫌そうな顔をする。
煙管のにがい味がするのだろう。
俺のは喜んで飲むくせに…


「んっ…!」


いじられ過ぎてぷっくりと赤く腫れた乳首を
つまみ上げると、桔平の目尻にじんわりと涙が滲んだ。


左手を下に滑らせ、兆しを見せ始めた膨らみを撫でると、びくりと身体を震わせる。
逃げるように腰を引くので、熱を持った私のを桔平の尻に押し当ててやった。


「っ!?」

「なーん?もう入れてほしかと?」

「ちが、う…んんっ」


腰に腕を回して、動きを封じ
後ろから桔平の柔らかな太腿に押し当てて擦り付ける。
硬さを増していくのが分かるのか、
桔平は耳まで紅くして下を向いてしまった。

また桔平の膨らみを指先でなぞると、
先程より大きく形を変えていた。


「尻に擦り付けられて勃つなん変態だけばい。
桔平の変態っ」


「ふ、あっ…」


お楽しみはこれからだが、玄関の戸が開く音がして、桔平は咄嗟に口を塞ぐ。


「ごめんください…」



「桔平、お客様ばい。」

「ん、でも…」

「はよ出らんね」


身体の熱を鎮められないまま客の相手をするのが恥ずかしいのだろう。
このまま押し倒してあんあん喘ぐ声を木手くんに聞かせるのも良いな、いや、いっそ木手くんの目の前で抱いてやるのも良い…


………そうだ


「…桔平、着物ちゃんと着たら
新しいお茶持って書斎に来なさい。

あと、自分でいじったらいかんよ?」


私は平静を保ち桔平から離れて玄関へ向かった。
木手くんは玄関先の丸い鉢の中を泳ぐ黒い金魚とマリモを眺めていた。




「待たせてすまんね、
ちょっと立て込んどったばい」


「こちらこそ、締切日でもないのに
突然訪ねてしまって」


「その金魚むぞらしかろ?」


「…ええ、とても美しいです。
黒い金魚なんて珍しいですね」


「桔平に似た美人ばい。
ばってん飼うことにしたったい。
ちなみにそんマリモは俺ばい」


ああ…と納得したような顔をする木手くんを
さっさと上がらせて、書斎へ通す。


原稿の進行状況や書き悩んでいること、
今後の予定などを一通り話た後、やっとお茶を持った桔平が現れた。



「失礼します。お茶が入りました…」


静かに部屋の障子を開け、桔平が書斎の中に入る。

私と、木手くんの前にそれぞれお茶を置いた後、そのまま下がろうとした桔平を呼び止める。


「桔平、ちょっとここで木手くんに
抱かれとってくれん?」

「っ?!」

「えっ…?」


突然の提案に、固まってしまった桔平の帯をすかさずほどき、両腕を後ろで縛る。


「さ、木手くん遠慮せず触ってよかよ?」


桔平の背中を押すと、バランスを崩して木手くんの方に倒れ込んだ。


「これで先生の原稿が進むなら…
やりましょう」


特に表情も変えず、木手くんは桔平の着物を脱がせて、先程さんざん攻められまだ腫れも引かない胸の突起を口に含み、いやらしく音を立てて愛撫し始めた。


「!んっ、んあ…っ」


声を聞かれたくないのか、いつもは乳首だけであんなに乱れて鳴く嫁が、必死に唇を噛んで我慢している姿…たまらなく、良い。


木手くんの手が、半端に煽られたまま放置されたの桔平の股間に伸びてゆく。
すでに半勃ちの根元から扱かれれば、待ち望んだ快感に、嬌声があがる。


その甘い声を聞きながら原稿を進めていく。

「あっあっ…はぁ、あっんんッ!!」


自分の腹を汚して果てた桔平の顔を少し眺めていると、潤んで半開きになった
目とかち合った。
口が僅かにぱくぱくと僅かに動いている。


それは、いつも果てた後に桔平が無意識にキスをねだる時にする癖だった。


「木手くん、やっぱり俺も混ぜて」

「原稿は進んだんですか?」

「大体目途がついたばってん、大丈夫。
桔平、お待たせ」


深く口づけると、桔平は嬉しいのか自分から進んで舌を絡めてきた。


「ん、んぅ…ふ…ぁっ」


顎を掴んでなぶり、混ざった唾液を全て流し込むと、喉をならして飲み干してくれた。


「ちと…せ…」

結婚してから久しく呼ばれなかった名前を
口にする桔平。なんだか可愛い。


「…ほら、桔平。後ろほぐしてやるから
脚開かんね?」


私の言葉通り、脚を大きく開いて誘うような体制になる。
指先を舌で濡らし、桔平の後孔に埋める。
ぱくりと一本を飲み込み、徐々に本数を増やしていく。


ほどよく解れるまでそう時間はかからなかった。


「木手くん、勃っとる?」


「…………いいえ」



すかさず木手くんの股間を手で掴むと、
「なにするんですか!!」と怒鳴られたが
硬くなっているのは分かった。


「原稿手伝ってくれたお礼がしたか…」

「そんなの、結構ですよ…」

「桔平、木手くんのお口でしてあげて」


桔平を縛った帯を解いて、
体制を四つん這いに変えると、桔平は木手くんの着物を捲って硬く勃ち上がった先を口に含む。


「んぅ、んっ…ふぁ…」


他の男に夢中でご奉仕している嫁の姿は、見ていてあまり気分が良いものではない。

私は、ほぐした桔平の後孔に今度は自身を押し入れていく。


「ああっ!…やっ」

「ほら、ちゃんとくわえて下さい…」


木手くんに頭を抑えこまれて、根元まで一気に口に押し込まれる。


「うっ、は…いつもより締め付けてくっとね、きっぺ…」




桔平はつくづくマゾヒストだと思う。
こんなに苦しくて痛いことをされても喜ぶのだから。

それゆえ、サディズムをもつ人間が寄ってくるのだろう。


3人して盛りのついた獣のような行為を続け、終わった頃には桔平はいつもよりぐったりして、私の膝枕で眠ってしまった。







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反☆省


20130328    奥谷

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