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▽本棚
写真家とライオン(*ちとたち)

写真家で世界を渡り歩いてる千歳が
ジャングルの奥地で野生少年桔平と出会う話。




―――――――――――




この仕事を始めてから、世界中を渡り歩いて早数年。色んな物を撮り続けてきた。



今俺は、このジャングルに簡易テントを張って自然を撮っている。


今日はここでしか撮ることのできない被写体を探しにテントから少し離れた場所まで来ていた。


そこで、彼に出会ったのだ。



滝が流れる大きな川で水浴びをする少年。
程よく筋肉がつき均整のとれた綺麗な身体。
長く金色に輝いている髪は、ライオンを彷彿とさせる。


俺は、茂みに隠れて気付かれないようにカメラのシャッターをきる。



明くる日も、俺は太陽が高い位置に昇る頃にあの川に行って、水浴びをする彼の姿をカメラに収めた。



気付けば、草や花の写真を撮るより、彼の姿を撮る回数の方が増えていた。



そんなことを続けていたある日、
快晴が続いていたジャングルに、大雨が降った。


激しい雷雨に、外に出るのは無理だと諦めてテントの中でじっとしていたのだが、ふと彼のことが気になり、俺は雨合羽を着ていつもの川へと向かった。




川の近くまでたどり着くと、あの綺麗だった水は泥水のように濁りまた、増水していた。


さすがにあの少年も危険か安全かの区別くらい着くのだろう。姿はなかった。



「いらん心配だったとね…」



これ以上ここにいて怪我でもしたら面倒だ。来た道を引き返そうとしたその時、背後で何やら物音がした。



振り返った先にいたのは、大きな立派な鬣を持つライオンだった。
唸るような威嚇をされ、俺は恐怖で身体が凍りつきその場から一歩も動くことが出来なくなった。




ライオンが吼えた瞬間、俺は目を閉じた。




ここで終わりか…




次に目を開けた時、ライオンの姿はなく、
その代わりに例の少年が腰布一枚で目の前に倒れていた。


「!!…なんできさんがっ」



その体に傷はないが、触れた額はひどく熱かった。



早急にテントへ連れ帰り、濡れた体を拭いてやってから、少しブカブカだが俺の服を着せてやり必死に彼の体を温めた。



目を閉じ眠ってはいるものの、荒い息を吐き、うなされている姿はかわいそうであった。


その日1日、俺は彼の看病をした。



やっと呼吸も落ち着きすやすやと静かな寝息が聞こえ始めたのは夜が明ける頃だった。


俺も彼の隣で横になり、金色の髪を指で梳いてしばらく彼の顔を眺めていた。


キリリとした眉が少し恐い印象を与えるが、目鼻立ちがよく、睫毛も長い。



気の強か美人さんってとこばいね…



薄いが形のよい唇を優しく指でなぞると、うっすらと口が開かれた。



吸い寄せられるように唇を近づけたが、ぐっとこらえて、俺も寝ることにした。



「おやすみ」



ランプの火を消して、彼にくっついて眠った。






***



目を覚ました頃には、日が高く昇っていた。
彼の体にかけていたはずの布は、いつの間にか俺の体にかけてあった。


そして、彼の姿がない。


もう元気になって、自分の住処に帰ったのだろう…

野良猫に一晩宿を貸してやったと思って、
自分を納得させた。

それに、またあの川に行けば会えるのだから問題ない。


そのまま不貞寝しようかと目を閉じると、テントに近づいてくる足音に気づき、もしや…と起き上がりテントから顔を出す。


そこには、血まみれの彼が立っていた。


「怪我したとや?!はやく手当て…」


俺が近付くと、手に持った物体を差し出した。


「…鳥?」


逆さまに持たれた鳥からは、血が滴っていた。

なるほど、返り血か…

多分、昨日助けたお礼なのだろう。
あまりにワイルドすぎて若干引いてしまった。


「あ、ありがとさん。コレ一緒に食わん?」


問いかけると、コクリと頷いた。

どうやら言葉は分かるようだ。喋ることはできないようだか。


俺はすぐに火をおこし、彼は鳥を食べられるようにさばいてくれた。
(といっても、羽根をむしったり、内臓を取り出しただけだが…)



丸裸になった鶏肉を受け取り、ナイフで食べやすい大きさに切る。

持ってきていた小さな鍋に、少量の調味料と水と肉を放り込み、煮込む。

その工程を興味津々に眺める彼の目はキラキラとしていた。


肉に十分火が通ったのを確認すると、箸で鍋から肉を取り出す。


小さな皿の上で、少し冷ましてから彼に渡すと、クンクンと匂いを嗅いで、皿を顔に近づけて食べてくれた。


これは箸の使い方も教えなくてはならないようだ。


「うまかねぇ・・・」


そういえば、肉を食べたのはしばらくぶりだったのを思い出す。
日々の食には無頓着というわけではないが、
持ち込みの缶詰や食べられそうな木の実なんかで済ますことが多かった。

おかげで、少し痩せてしまったような・・・


「もしかして、心配してくれたと?」


彼はコクリと頷き。安心したように笑ってくれた。



「そういえば、まだ名前言っとらんかったね。俺は千歳ばい。
お前さんは?」

「・・・きっぺい」

「きっぺい・・・よか名前ばい」

「ち、と、せ・・・」

「うん」



それから俺ときっぺいは時々、きっぺいが獲ってくる獲物を一緒に食べるような関係になった。


***



「きっぺい、こっち向いて〜」

日課の水浴びについて行き、間近で写真を撮らせてもらう。

最初はシャッター音やフラッシュを怖がっていたが、危害が加わることがないとわかると、
すっかりリラックスした姿も撮らせてくれるようになった。


水に濡れたその顔や身体は、まだ成長途中の未完成な少年特有の色気があって
俺は、ファインダー越しにゴクリと生唾を飲む。


ひとしきり水浴びを楽しんだきっぺいは、獣が全身を振るって水滴を飛ばすように、
髪についた水気を飛ばした。


「きっぺい、今日は俺んとこ泊まって行かん?」

俺の提案にきっぺいはコクリと頷く。

そして、なぜかまた川に入り、潜ってしまった。

「え、きっぺ!?」

しばらくして水しぶきを上げて、きっぺいが水中から出てくる。
その手には魚が二匹・・・


「今日の夕飯にすっとや?」

笑いながら魚を受け取り、二人ならんでテントへと向かった。
夕飯の魚は、簡単な塩焼きにして食べることにした。


辺りも暗くなって、そろそろ寝ようかと狭いテントの中で二人でくっついて横になった。
ランプの小さな灯りで照らされた空間の中で目の前のきっぺいの顔を眺める。

「きっぺい・・・ここにキスしてもよか?」

指で、きっぺいの唇をつつくと不思議そうな顔をされる。

「きす?」

「うん、キス。気持ちよかやつ・・・してもよか?」

なんなのかよく分かってないようだが、頷いてくれた。

「じゃ、目ば閉じてて?」


言われた通りに目を閉じたきっぺいの顔を引き寄せて、唇を重ねる。
乾いていた唇を舐めてやり、自然と開かれた唇に舌を割入れるとビクリと体を震わせる。

「ふ・・ぁ・・・・んぅ・・・」

息苦しそうにきっぺいが俺のシャツを掴むが、顎をつかんで構わず咥内をなぶる。
逃げるように引っ込む舌をとらえ、ちゅっと音を立てて吸い上げ唇を離す。

「はぁ・・・はぁ・・・ちとせぇ」

口に手を当てて、潤んだ瞳で俺の顔を見る。

「気持ち良かとだろ?きっぺい・・・もっと、する?」

「ん・・・」

きっぺいの方から目を閉じて唇を寄せてくる。
たまらなく可愛くてつい笑いそうになるが、
その要望に応えるようにまた唇を重ねて深く交わる。

「んっ・・・んんぅ・・・!!」


二人でくるまっていた布からちらりとのぞくきっぺいの胸に指を這わせ、
指先で突起をつぶすと大げさなくらいに身体が跳ねた。


「は・・・きっぺい、もっと気持ちよくなることせん?」

きっぺいは目元を紅く染めて、コクリと頷く。

「俺が全部、教えちゃるけん・・・一緒に気持ちよくなろ?」


ぷっくりと紅く膨らんだ突起を舌で押しつぶすように舐めて吸う。

腰に巻かれた布を除けて、兆しをみせているそれを指でなぞると、恥ずかしいのか
きっぺいが顔を背ける。

優しく握り込み、ゆっくり扱き始めると初めて得る快感なのか、
戸惑うように声を上げる。

「んっ・・・やあぁあッ」

「きっぺい、こぎゃんこつしたことなかろ?」

扱くスピードを早めると、テントの中に水音が響いていく。

「あぁ、あんッ・・・ちと、せっ」

「ん、出してよかよ」

二三度震えて、熱を吐き出す。

荒い息を吐いて痙攣しているきっぺいの髪を梳いて、
目元を紅く染めた顔に、優しくキスを落とす。

「まだまだお楽しみは、これからばい」


きっぺいの腹に飛び散った白濁を指ですくい取り、
後孔に指を埋める。

「あっ・・・」
「きっぺ、力抜いとってな・・・」

ゆるゆると馴らしながら、指の本数をゆっくり増やしていく。
気持ち良い箇所を探して、指をバラバラに動かしたり内壁を軽くひっかいたりもして
きっぺいの反応を見ていくと、ある箇所でビクビクと身体を震わせた。


「んん!・・・ちとせ、や、あああ・・・!!」
「ここ、気持ちよか?」


コクコクと頷いて、体を捩って乱れるきっぺい。
充分に解れたのを確認して指を引き抜き、きっぺいの両足を広げさせる。
俺はズボンと下着をずらして、立ち上がったそれを後孔に宛てがう。


「ひっ!ああぁぁー・・・!」

悲鳴に近い声を上げるきっぺいに構わず、一気に腰をすすめる。

きっぺいは俺の背中に腕を回し、痛みに耐え切れないのかひどく爪を立ててくる。
全部きっぺいの中に埋めきって、深く口付けながらゆっくりと腰を動かすと、
落ち着いたのか少しずつきっぺいの身体から余計な力が抜けていった。

「ふ・・・んんぅ・・・んあ」

「ん・・・きっぺー、たいぎゃ好きばい」

きっぺいが気持ち良くなる箇所を突き上げると、上半身を仰け反らせて嬌声を上げる。
見開かれた潤んだ瞳が揺れる。

「あ、ああぁあーー・・・!!」

きっぺいの腹につくほど立ち上がっていた前を扱き、
二人ほぼ同時に白い熱を吐き出した。



じっとりと汗をかいた上に下半身はどろどろだったのだが
朝まで俺たちは抱き合って眠った。











―ーーーーーーーーーーーーーー


長い間温めていた設定でした。
無垢で無知なきっぺいに夜の教育ばかりする
千歳ってばホント・・・


ここまでお付き合いありがとうございました。

2012.10.05    奥谷

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