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長編
混乱

家に帰った勝家は、パソコンの電源をつけた。
政宗に教えてもらってインキュバスの正体は分かったが、もう少し調べてみたい。
パソコンが起動するまでの時間にコーヒーを淹れて、机の前に座った。



「……何だこれは…」

開いたサイトに載っていた文面の数々。その異様さに勝家は思わず独り言を漏らした。
インキュバスは女性の夢の中に現れ性交をし、悪魔の子を孕ませるという。
勝家はインキュバスのおぞましい生態にぶるりと震えた。
知っている限りでは日本の妖怪にそんなものは居ない。
西洋とは恐ろしいものだ。

さっさとあいつの勘違いをとかなければ何となく落ち着かない。
昼寝でもしてあいつと一刻も早くおさらばするべきだと思い、部屋の電気を消してベッドに寝転んだ。
普段は昼に眠くなる事はほとんど無いのだが、何故か吸い込まれるように、あっという間に眠りに落ちた。

「ここは…」

昨日も見た、己の部屋のような場所。
1つ違うのは、始めからあの男が目の前にいるという事だ。
派手な色の髪をした、長身の男が。

「今日は早かったな。どうかしたか?」

艶っぽく笑った男に勝家は向き直った。

「お前は私を女だと思っているのかもしれないが…私は男だ。もう私の夢に現れるな」

冷静にそう告げると、男は少しだけ目を見開いて手をひらひらと振った。

「そんな事始めっから分かってるって」
「な……!どういう事だ」
「だから、俺はあんたが欲しいんだって。あんたが今日インキュバスについて調べてた事は知ってる。俺の生態分かってんだろ?」

本気で意味が分からない。
自分の事を男だと知っていた?
私が欲しい?
混乱した勝家は男を見つめたまま絶句した。
勝家の様子を見ている男は笑って、勝家の側に寄る。

「今はまだ昼だから時間はたっぷりある。ゆっくり説明してやるよ」

目を細めて笑った男の瞳は淫夢の名にふさわしく、淫らな光を湛えていた。





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あきゅろす。
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