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短編小説(オリジナル)
2



オレンジ色の光がぼんやりベッドを照らしていた。
薄っすらと眠っている奈津の顔が見える。
小さな奈津の上に馬乗りになっているのは、間違いなく、お父さんだった。

「奈津、奈津…」

小声で、愛しそうに、お父さんの声が聞こえた。
奈津のパジャマのボタンは全部開かれ、ズボンもゆっくり下ろされた。

「ん…っ」

「可愛い奈津…」

お父さんの唇が奈津の全身に落とされる。
僕はお父さんのこんな顔、見たことがない。
実際にされている奈津でさえ、ないだろう。


意味が分からなかったけど、あれは異常な行為だということは分かる。
僕は急いでベッドに戻って布団を被った。
胸のドキドキがうるさくて、眠れない。
気持ち悪いとかそういう思いは一切なかった。

ただ、


奈津だけがお父さんにあんなに愛されているなんて。





気付いたら、僕の中にモヤモヤと何かが湧き上がってきていた。







「ねえ、利津!ゲームしよう?」

「………1人でやってよ、僕は外で遊んでくるから」

「えっ、利津…また?…じゃあボクも行く……」

「奈津は体が弱いんだから来るな、1人でゲームしてろよ!!!」

「怒んないでよぉ…やだ…利津…ぅ…っ…ぐす…」


最近、急に冷たくなった僕に対して奈津は不思議で仕方のないような顔をする。
そして僕が冷たくすると奈津は泣く。
僕はそれを無視してガンッとドアを閉めた。

あれから奈津にあからさまに冷たくする自分に、僕は正直驚いていた。
自分でも分からないくらい、お父さんに愛されている奈津が妬ましくて仕方なかったようだ。
体が弱くて僕よりちょっとだけ背が低い、顔が同じの双子の兄だ。

奈津だけ、あんなにお父さんに愛されているんだ。
それと平等になるくらい僕は奈津に冷たくしてやろう、なんて、ほぼ罪悪感でいっぱいの気持ちを隠しながら冷たい言葉を脳内から引っ張り出す。


「…利津…ぅ…なんでぇ…っ、やだよぉ…っぐす、ごめん、ね…っ、ごめんなさい…っ」

ドアの向こう側から奈津の泣き声が聞こえた。
僕は聞こえないふりをして、そのまま走って外に飛び出した。

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あきゅろす。
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