短編小説(オリジナル)
1 リクエスト/お話長め/近親相姦/拘束
眠れない夜のことだった。
僕は二段になっているベッドの上からゆっくりとはしごを降りた。
下には双子の兄、奈津が寝ている。
そっと、そっと、音を立てないように足を下ろす。
キシッと小さな音を立て、僕は下のベッドを覗き込んだ。
奈津はいなかった。
奈津もトイレかな?
そう思って、僕はトイレに行った。
だけど、奈津はいない。
じゃあ、リビングかな?
大して気にはならなかったけど、眠れなかったこともあり、僕は奈津を探した。
真っ暗の中、リビングも台所も遊ぶ部屋もお風呂場も全部見た。
いない。
だんだん僕は不安になってきた。
「…奈津…どこ?」
どうでも良かった筈なのに、僕は奈津を見つけることに必死になっていた。
後、見ていないのは、お父さんの部屋。
奈津と僕は瓜二つだ。
だけど、生まれつき奈津だけ体が弱かった。
僕と奈津は幼い頃にお母さんを亡くし、お父さんに育てられた。
とはいっても、お父さんは無口で仕事ばっかりだった。
お父さんは真面目に医者をやっているため、お金に不自由することなく育ってきたけど忙しく、遊ぶのはいつも奈津と僕だけ。
でも、体の弱い奈津は僕よりもずっとお父さんと一緒にいることが多い。
奈津、もしかしてお父さんの部屋にいるの?
こんな夜中に?
けれど、もうそこ以外考え付く場所がない。
僕はお父さんの部屋の前に立ち、音を立てないようにゆっくりドアを開けた。
「いい子だね、奈津…可愛いよ」
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