短編小説(オリジナル) 1 吸血/拘束/尿道 ――― …… 朝、僕はいつものようにパッと目が覚める。 頭がボーッとする。 元から低血圧だが、今日はいつになく身体が重かった。 それに、変な夢も見た。 夜中に急に外の空気が吸いたくなり、吸い寄せられるかのように窓に向かい、窓を開けたのだ。 そこまでは良かった。 強い風に押され、気付けばその風は僕を包み込みベットに押さえつけた。 でもそれは風ではなくて。 黒い服を身に纏った、男。 やけに整った顔と紅い瞳が印象的だった。 そして、男は意識がはっきりしない僕の首筋に噛み付き、プスリと歯が皮膚を破る。 血が抜けていく感覚と共に僕は眠るように意識を失ったのだ。―― その夢は、何故か鮮明に脳裏に焼きついている。 ありえないけれど、現実にあったかのような。 「……」 でもそれは夢だ。 どうでもいい。 そう思い、僕は重い身体を起こし、洗面所に向かった。 顔を洗い、鏡を見る。ふ、と首元に気がつき、思わずグイッと鏡に近寄る。 「……なに、これ」 首元に2つの点がある。かさぶたになっているようだ。 まるで誰かに噛まれたかのような痕に思わず背筋がゾクッと震える。 鮮明に覚えている夢とのリンクに、思わず眩暈がする。 (気味が悪い) 体中の血がサーッと下がっていくような感覚に陥る。 酷い貧血に、立っていられなくなり壁を伝い、再びベットに向かう。 視界がぐるぐるする。僕の身体からは、ふと力が抜けて意識が遠のいた。――― 「ん…っ」 心地よい人肌、快感と若干の違和感と共に僕は目を覚ました。 「ん、起きたか?エサ」 「誰だ、おま…っん、うあっ、なに…っ!」 僕の声と卑猥な水音と肌のぶつかる音が部屋に鳴り響く。 目の前にいるのは、昨夜の男。 意味が分からないことに、僕の下半身は何も身に着けておらず、後孔は男のものが激しく出し入れされていた。 「やだ、やだっあっ…抜け…っ」 奥を抉られるような感覚に生理的な涙が瞳の上に浮かぶ。 身体は仰向けにされ両手は使えないようにベットの柵に繋がれていた。 「意味が分からない…って顔だな」 男は勃ち上がった僕自身をギュッと掴みながら囁く。 ニヤリと上がった口端からは白く尖った牙がのぞいた。 [次へ#] |