短編小説(オリジナル) 6 「良平、くんっ」 「……ん?」 「もっと、ゆっくり……」 熱が内壁を擦りながら、強制的に前立腺が擦りあげられる。 呼吸が苦しくてすがりつくように、腕を彼の首元に回すと、彼の動きが止まる。 「無理だよ、みっくん……、みっくんの中、溶けそうだもん」 「あ、アッ、だめ、ダメッ、ひっ」 背中に手が回されて上体を起こされると、ガンガンと脳まで痺れるような激しい突き上げがされる。 前立腺を連打されるような腰の動きに、ただただ悶えて喉から嬌声が漏れる。 「あ゛、あっ、あ、あ、あ、あ、アッ」 弱い場所をすでに把握された自身が、ぬるぬるな手で軽く扱かれた後、ピンポイントで責められる。 「ひ、っあ、い、ああ、アッ、あああ」 もう脳内は真っ白で、同時に責められる快感に全身が痙攣した。 自身の先からは何度か射精をした形跡があったが、すぐに彼の手でぐちゃぐちゃに扱かれてしまうためよくわからなかった。 「ほんとに、だ、め、あっ、こわ、れっ、あっ、あ」 突き上げられながら、ゾクゾクと震えて、一層大きく何回か身体が痙攣する。 筋肉がピクピクとひきつったあと、ぞくぞくとまた大きな波に飲み込まれそうになる。 「や、ぬ、て、抜いて、だめ、アッ、あっ」 回していた手を解き、身体をひねってソファを掴む。 ずる、と熱が抜けかけたが、彼は僕の身体を後ろから強引に抱え込んで奥まで貫いた。 「ひ、嫌、いや、あアッ、あ、あ、あ、あ」 彼は、更に両足を左右に開かせ、抱えたまま下から突き上げた。 後ろから抱えられ、どうすることも出来ず僕は頭を振り乱しながら前立腺の刺激で絶頂を迎えてしまう。 指先まで痺れるような刺激にも関わらず、容赦なく彼は自らの熱を突き上げる。 「っ、ん、あ、っ、あ、っ、ッ」 ぴゅ、と自身からは力なく精液がソファに飛び、中に彼の熱が勢いよく吐き出された。 ずるっと、熱が抜かれて、はあ、はあ、とお互いの荒い呼吸が聞こえるなか、僕は朦朧とする意識を保とうと振り返って彼の頬に手を伸ばした。 「……みっくん?」 「みえない……」 「だめ、顔見たら、本当に本当に止められなくなっちゃう」 「………いいよ」 「え?」 「ゆっくりなら、いいから、……泣かないで」 ゆっくりと向かい合った体勢に戻って、ぽろぽろと涙を流している彼の頬に手を当てた。 彼は、ぐす、と鼻を啜りながらぐったりとした僕を抱きしめる。 「いい大人なのに、こんなことしてごめんね、本当に、……大好きなんだよぉ」 「……僕も、」 ふわっと脱力感に襲われて、強制的に瞼が閉じる。 ゆさゆさっと何か言われながら揺れる感覚はあったが、気付けば意識は遠くへ飛んで行った。 「駄目だって!!!!!!!!!!!」 バシャと彼が大袈裟に動くせいでお湯が飛ぶ。目に入った。 身体を濡れタオルで拭いてくれている途中で目覚めた僕は、一緒にお風呂に入ることにした。 バスタブに向き合って入っているため、少し狭い。 「好きだから独占したいし、触りたいし、えっちなこともしたいよ、えっちもキスもいいのに、何でもないとか……ただのセフレじゃん……うう……それに……さっき僕も好きって言ったじゃん」 「覚えてないよ」 せっかく彼女が出来たからまだ別れたくないと伝えると、彼は僕の両手首を掴んでぶんぶんと振って泣き出した。 お湯が飛ぶ。 「だ、だって、良平くんのことは最初から嫌いとかじゃなかったし、まず誰かと付き合ったことないから……好きとか、わかんないんだよ」 「じゃあ、僕のこと好きになって!!!!」 「えー……でも、付き合っちゃったし……」 「別れればいいじゃん!!!!!」 「……可哀想だよ」 「なんでよ!!!!! じゃあ僕がこんなに好きなのに、可哀想だから付き合ってあげるとかそういう発想はないの?!?えっちはいいのに!?!」 彼は涙目で訴えながら、近付いてくる。 ただでさえ狭いスペースがどんどん縮められていく。 「良平くんは、……付き合うとか別れるとか、そういうのじゃないし」 「……みっくん」 「良平くんが僕のこと好きなのは伝わってくるし、嫌じゃないし、気持ち悪くないよ、一緒にいて安心する」 「みっくん………!」 パア、と明るい表情を浮かべる彼に、ひとまず安心して、顔を背ける。 「良平くんと離れたりなんかしないよ」 「みっくん〜〜〜〜!」 「だから、彼女と別れなくてもいい?」 小首を傾げて尋ねると、彼は一瞬で眉を下げて涙目になった。 「……やだ!」 「いいじゃん! 別に!」 「やだやだやだ!」 「なんで!」 「もういい、じゃあ、みっくんが僕に骨抜きにされるまで容赦しないから……」 ぢゅうっと首の付け根に吸い付かれて、うっすらと赤い痕が残る。 さっきから体勢的にお湯の中で自身が擦れるのが気になるが、抱きしめられたまま僕はなんとなく彼の背中に手を回す。 「……でも、あんまりしつこいと嫌いになるから、気を付けてよ」 「うう……やっぱり小悪魔だよ、みっくん」 悔しそうな、でも少し嬉しそうな涙声が、お風呂場でエコーがかかる。 ということで、彼女は出来たけど良平くんからアプローチされる日々は続いていく。 正直、彼女といっても、喋ったことのあまりない女の子だし、恋人という恋人らしいことはまだ一切していないし、これから出来る予感はしていない。 だけど、彼女がいるというだけでアレコレ想像して1人であたふたしてる良平くんを見てるのは楽しい。 「絶対に、みっくんは僕のものにするから」 涙目でキリ、と僕を見つめて彼は言う。 まだ、好きとかはわからないけど、予感はしている。 彼には絶対に言わないけど。 僕はいつかきっと、彼に奪われる。 end. [*前へ] |