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短編小説(オリジナル)
4

「せんぱ、……もう、離して……」

消えるような声でそう訴えると、未だ挿入されたままの辻宮の熱がズンと押し付けられた。

「それと、随分と前からお前の知らないところで、何度も何度もセックスしてるよ」

「あ゛っ、あっい、やあっ」

がつがつと打ち付けられて、サーッと冷めた筈の身体が再び熱くなる。
腰に回された辻宮の腕に爪を立てて、首を振る。

「や、やだ、見、るな、おく、だ……、みな、っで……ッんン゛ッ」

快楽を振り切りたくて悶えても、ただただ受け入れてしまう。
奥田の前なのに、全く頭が回らない。

「七瀬……お前、男好きなの?」

「ちがっ……」

「オレ、わかんねえよ」

「おれ、ちがうよ、俺……ひぃっ、イッ」

ゴリュゴリュと中が擦られ、快楽でふわっと身体が浮くような感覚に陥る。
刺激によってぴくぴくと勝手に動く自身が、辻宮に握られる。

「可愛いよ、七瀬」

「ひ、イ、あ、あ、あ、ああ」

びりびりと耳元から流し込まれる辻宮の声に、腰に力が入らなくなる。
もう何もわからないし、どうでもよくなるような、長い快楽が続いた。


「お前のせいだよ、奥田」


辻宮はそう言いながら足に力の入らない俺を、近くの長椅子に横たわらせた。

「全部、全部、お前のせい」

責めるような、楽しんでいるかのような、そんな口調だった。

「お前さえいなければ、七瀬はこうやって後ろを犯される必要なかった訳」

「それ、どういう…」

「お前が目障りなんだよ、奥田」

足首に纏わりついたスラックスが床に落ち、靴下が脱がされる。
足の小指から舌が辿っていき、親指が根本まで咥えられる。

「せんぱ、やめ、て……」

「お前が気に食わなくて退部させるって言ったら、七瀬が言うこと聞いてくれちゃったんだよね」

くるぶしに唇を落とし、そのまま愛しそうに頬を寄せた。

「お前それでも七瀬を軽蔑出来るの?」

凍りつくような言葉を、冷たい口調で奥田に突き付けた。
何も聞きたくない。
何も答えなくていい。
それを裏切るような返答が俺に向けられた。

「そんなの、……頼んでない」

「ふーん、じゃあ、七瀬は奥田の為に身体張ったけど結局そんなの無駄でその上、軽蔑されちゃったんだ?」

サーッと身体が冷えていくなか、バクバクと心臓だけが熱を持って暴れていた。
辻宮が俺に被さって、頬笑みながら優しく頬を撫でた。

「…ッ、う゛…あ゛、うああ」

辻宮に微笑みかけられた瞬間、何かが切れたように、ガタガタと震えながら大粒の涙が流れた。
俺は小さい子供のように嗚咽を吐きながら、声を上げて泣いていた。


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あきゅろす。
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