短編小説(オリジナル) 3 「や、やあ、あ゛アッ」 深く貫かれるその体位に、身体の奥底からびりびりと震えていた。 自身の裏側が繰り返し繰り返し擦られることによって、ロッカーへかかった精液は量を増やしていた。 「せんぱ、おれ、……っ、だめ、もう……アッ」 今にも意識を飛ばしそうな顔を、辻宮の方へ向ける。 そのまま唇が重ねられ、舌を絡め合う。 「ん、あ、あ、〜〜〜っ」 ビクビク、と中で震えた熱が奥に流し込まれる。 気が付けば目の前のロッカーは汗で湿り、息でくもり、精液で汚れていた。 そのまま力の抜けた身体を辻宮に後ろから抱きしめられる。 「七瀬ので、ロッカーの扉汚れちゃったね」 はあ、はあ、と肩で息をする俺に、辻宮は耳元で囁いた。 「ここ、誰のロッカーかわかる?」 ぼやけた視界で小さいネームプレートを確認し、俺はハッとする。 「おく……だ……」 「そう、奥田のロッカー」 目を見開く俺の表情を確認すると、辻宮は耳に舌をねじ込んだ。 「は、あッ、嫌、あ……」 力の抜ける俺をいいことに、辻宮は勃ちあがったままの俺の自身を強引に扱いてみせた。 「嫌、おねがい、おねが、アッ、あっ」 ぶんぶんと首を振ると、顎を掴まれ、動きを封じて耳が嬲られた。 水音がびりびりと脳に響き、射精感はつのる一方だ。 「あ゛、イく、ア、あっ、んっ……ッ」 薄くなった精液が少量、ロッカーに飛んでいくのが見えた。 ぼろぼろと涙を流しながら嫌がる俺をよそに、辻宮はピストン運動を再開させた。 もちろん、周りの音なんて何も聞こえていなかった。 「部長、オレのロッカーの前で何やってるんすか……」 それは聞きなれた、確かに親友の声だ。 幻聴ではない。 揺らぐ視線の先には奥田がいた。 心臓が止まりそうな程に、驚いて身体が震えだす。 「え……おい、お前……もしかして七瀬……?」 「奥田、まだ帰ってなかったんだ?」 辻宮の言葉を無視して奥田が俺に近付き、バッと手首を掴んだ。 ぼろぼろと涙を流す俺の顔を確認して、奥田はキッと辻宮を睨む。 「最近、妙に一緒にいると思ったら、ついにレイプですか?」 俺の手首を掴んだ奥田の手を払い落とすと、ぎゅうっと包み込むように後ろから抱きしめられ、後頭部に辻宮の鼻がすり寄せられる。 「まあ、随分と前にね」 辻宮のにやりと口端を吊り上げて、細めた目が奥田を捕らえた。 1番見られたくない人物に見られてしまったショックと、消えてなくなりたい現状況に俺は耐えることなど出来なかった。 [*前へ][次へ#] |