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短編小説(オリジナル)
3

「あっ、は、あ」

言葉を発する間も与えない、深くて長いそれに、僕は何が何だかわからず抵抗すら出来ない。
時より、耳にちゅっちゅっと唇の音が届くが、それが自分の唇と津山の唇の音なのかもわからないくらいに混乱していた。
頭の中をぐるぐると色んな津山が登場してきて、毎朝向けてくる笑顔が次第に恐ろしく映される。

「……時本、くん…」

「………は…っ」

「……すっごい本気だよ」

その声が唇にびりびりと振動する。

「……津山、僕、帰る」

津山を押し、立ち上がろうと床に手を着くとその手を津山に取られ、バランスを崩す。
そのまま床に倒れた僕の両手を、後ろでカチャリと音を立てて拘束した。

「つ…や、ま…?」

「時本くん、帰っちゃやだ」

「じゃ、じゃあ、帰らない…だからコレ…、取って」

両手を動かすと、カチャカチャと安っぽい鎖の擦れる音がして、サーッと血の気が引く。
津山は何も言わずに横になった僕の身体に跨ると、顔の横に手を着いた。

「時本くんの身体舐めたい」

ぬるっと耳に津山の舌が入り込み、吐息を注がれる。
ゾクゾクと反射的に身体が震え、むず痒さに足をバタつかせる。

「や、やだっ、津山、やめっ、くすぐった…ア」

首筋をなぞる様に舌が下りてきて、出っ張っている鎖骨にちゅうっと吸い付かれる。
津山は僕のシャツのボタンを外し、両胸の突起も弄りだす。

「つや、ま、待って、落ち着けって」

「本当に、本当に時本くんが好き」

津山の舌が、ぺたんこの胸に飾られた突起を捏ねる。
恥ずかしいのと、くすぐったいのと、むず痒いのとが混じって、意味がわからなくなる。
歯を食いしばって、妙な感覚に耐えていると津山の重心が、膝あたりにずれて、足が動かせなくなった。
カチャカチャとベルトが外されて、僕は身体を捩じって抵抗する。

「やっ、やだ、そんな所、なんで、やだあっ」

ズボンが開かれ、ズルッと下着を下ろされる。
僕が暴れると、津山はヒョイッと身体を浮かした。
その反動で僕は身体が回転し、床に這いつくばるような体制になった。

「好き、時本くん、好き」

両手が使えない僕は逃げようとすると、どうしても腰が高い体制になってしまい、津山はそれを利用して皮を剥くかのようにズボンと下着を下ろしていった。
膝まで下ろされた服はそのままに、津山は僕の自身を後ろから掴むとごしごしと扱き出す。

「ひ、あっ、や、やめて、津山あッ」

後ろから覆われるように津山にのしかかられ、他人の手に扱かれる感覚に、快感がじわじわと湧き上がってくる。

「つや、ま、アッ、わかったから、手、離してッ」

津山の部屋の絨毯に顔を押しつけながら、ひたすら懇願する。
状況がわからない。絨毯から津山と同じいい匂いがする。
頭がぼーっとしてきて、何度も何度も同じ言葉を繰り返していると、数日前に自慰した時のあの感覚が襲う。

「アッ、あ、い、いく…、いく…あっ」

気付けば僕は、ゼエゼエと息をしながら津山の手の平に射精をしていた。


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あきゅろす。
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