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紅の女神
◇◇◇◇

◆◆◆◆◆

 モミジ達とウルイが出会う前。

 どういう意味だ、と問いかけたかった。
 だが、"どういう意味"もなにもない。本当のことなのだ。


「俺とアサヒは本当の兄妹ではない」

 ウルイは真っすぐにセンヤをにらみつける。
 センヤは青い瞳でウルイを見つめる。
 しばらくそうしていたが、ウルイが先に視線を外して部屋を出ようとした。
 それをセンヤが阻止する。

「待ってください。一つ聞きたいことがある…」

 掠れた声がセンヤの口からでる。
 ウルイは目で促した。
 センヤは唾を飲み込み、

「それは…アサヒも知っているのですか?」

 ウルイの眉間に皺(しわ)がよる。

「いや、知らない。…それが?」

「…いえ、別に――っ!」

 突然センヤの肩をウルイが強い力で掴む。

「余計なことは知らなくていい。後は自分で考えろ」

 そのままセンヤを跳ね退け、部屋から出て行った。
 ゆらゆらと揺れる織布がやがて止まる。
 朝日が差し込む部屋の真ん中で、センヤは呆然と立ち尽くす。

「やはり俺はここに来るべきではなかった…。俺はアサヒも紅玉も苦しめる存在だ……!!」

 握りしめた拳(こぶし)が震える。

「朝日…か」

 目を細めて見つめる先にはアサヒと出会った日に見た朝日が昇っている。

「さよならだ、アサヒ…」

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