紅の女神
◇◇◇◇
少年は、すまないと頭を下げる。
「私の方こそ、いきなりごめんなさい」
アサヒも少年にならい頭を下げる。
顔をあげた時、少年は微笑んでいた。
その微笑みにアサヒも自然と笑顔になる。
(なんだろう……すごく不思議な感じ――)
「……そういえば、名乗るのを忘れていた。俺はセンヤという」
アサヒも言われるまで気付かなかった。
「私はアサヒ。このクニの長の娘なの。旅人さんなら、是非私の家にいらして?」
遠い見知らぬ土地から来た客人の話しはとても貴重なものだ。
「世話になる」
アサヒはセンヤに、先程、朝陽に向けた笑顔を向ける。
その朝陽は高く昇り始めている。
山の上でキラキラと輝き、二人を照らしていた。
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