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CHANGE




「かっちゃん聞いてぇ!!新事実に俺っちもビックリぃ」


駆け寄ってきた荒川に眉間の皺を深める吾妻。


「どうなさったんですか?」

「なんとぉ鈴ちゃんはマスターの息子様だったのでーす」

(………マスター?)


「それは本当ですか!?」

「本当だよ。だって鈴花の父親は谷山不動産の長男、数年前から趣味でバーを経営しているそうだしね。決定的なのは名前が谷山文弥で一緒ってこと」

「…そこまで一致しているなら本当でしょうね。私達と同じくらいの息子がいるとも言っていましたし」

「よく見れば鈴ちゃん目元マスターに似てるぅ」



まさに蚊帳の外。

俺だけ理解できていないみたいだが、唯一分かるのは鈴花があの有名不動産の家の者ということ。



一人傍観していると隣に立っていた吾妻が説明しだした。

「城之内君は知っているか分かりませんが、私達生徒会4人はここら一帯でNo.1の族に入っているんです。マスターというのは私達のたまり場であるバー、COSMOSの主人のことです」


失礼かもしれないが、他の3人はまだしも吾妻は族なんて似合わない。

怪訝そうに見ていたら顔に表れていたのか“私は情報担当です”と言われた。


「なぁ、もしかして族ってVENUS?」

「なんだ鈴花知ってんのか?」

会長が感嘆の声をあげる。


「名前くらいだけどな」

「文弥さんに聞いてたのか?」

「親父からはあんま詳しく聞いてねーよ。親父の弟、俺の叔父さんが言ってたから」

「弟って初代総長のカイさんか」

「鈴ちゃーん。今の総長様はカオちゃんなんだよぉ。ちなみに副総長はつーちゃんでぇ俺っちとかっちゃんは幹部なのぉ」

「スゲー!!」


“カイさん”という人物の話が出た時、皆の顔に陰がかかったように感じた。


しかし荒川がすぐに話題を変えたのでそれも一瞬のこと。

だから俺はそれ程気にしなかった。





盛り上がって会話をする生徒会メンバーと鈴花。

吾妻まで行ってしまったので、一人立ち尽くす俺は今度こそ完全に存在を忘れられているだろう。



鈴花と生徒会の間に繋がりが発見されたこと。

それはこれから更に関わりが増えることに繋がる。


「はぁ」

(限りなく面倒だ)


憂鬱な気分になった俺の溜息に、盛り上がっている奴らが気付くはずもなかった。









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