見たいもの (クラウドBD小説-2012-) 「おう、じゃあサンキューな」 クラウドを1人部屋に残し部屋を出たザックスは向かった先で男から箱を受け取ると礼を言いクラウドが待つ部屋へと戻った。 「クラウドーただいまー」 「あっ、おかえり」 笑顔でザックスを迎えるクラウド。 そんなクラウドを見てザックスも微笑む。 クラウドはザックスがどこへ行っていたのかは聞かない。 ソルジャーであるザックスは他人(ひと)には話せない任務もある…何気なく聞くその疑問でもザックスを困らせたくはないのだ。 だからクラウドはザックスが行き先を告げずにどこかへ出かけてもどこへ行っていたのかは聞かない。 ザックスもそれは分かっている。 「ザックス、それ何?」 クラウドはザックスが手にしている箱について尋ねた。 ザックスは先ほどより更にふわりと柔らかく微笑むとその箱をテーブルへと置く。 「開けてみて?」 「う、うん…」 クラウドはそっと箱に手を伸ばすと慎重にその箱を開けた。 「? ケーキ?」 なぜ、なんのケーキなのか分からず問いかけるようにザックスの顔を見ればザックスは依然優しく微笑んでいて、よく見て?とケーキに指を指した。 言われてもう1度ケーキに目を落とすとケーキに乗ったチョコプレートに… 「誕生日おめでとう、クラウド!」 「わっ!」 チョコプレートには“誕生日おめでとう クラウド”と書かれていた。 それを認識したと同時に目の前からザックスに顔を覗き込まれその言葉を言われた。 「え?誕生日?」 「ははっ、やっぱり今年も忘れてたな。今日は8月11日、お前の誕生日だろ」 「あ、れ?そうだっけ?」 「そうだよ」 ザックスはおかしそうにクスクスと笑っている。 クラウドはザックスのその笑顔を見てもう1度ケーキを見た…。 「あ、の、ザックス…」 「ん?」 「ありがとう…」 恥ずかしそうにうつむいてお礼を言うクラウドを満足そうに見つめながらザックスはおうと返事をして食べようかと促した。 クラウドは美味しそうにケーキを食べてくれた。 そんなクラウドの様子を横目で見ながらザックスは右ポケットに手を突っ込んだ。そしてポケットの中にあるものを掴み取るとクラウドの顔の前に差し出す。 「はい、プレゼント」 「……これ…!」 「ああ、クラウドが欲しがってたやつ」 目の前に差し出された1つのマテリア。 それを見たクラウドの顔には喜びが広がっていく。 ザックスはそれをクラウドの手へと乗せてやる。 「俺の使ってたマテリアから生まれたやつだ」 「ほんと?」 「ああ」 このマテリアは前にザックスが使って見せたときにクラウドが気に入って練習したいと言っていたものだ。 このマテリア自体はクラウドが使っても危険ではないのだが、ただザックスのそのマテリアはクラウドが使うにはレベルが高すぎたため貸すことはできなかった。 今クラウドが手にしているマテリアは先日生まれたまだまっさらなマテリアである。クラウドが扱っても問題ない。 「ありがとうザックス!俺たくさん練習するよ」 「おう、頑張れ!」 クラウドはキラキラした目でマテリアを見つめている。 そんなクラウドを視界の端に捉えながらザックスは予め引き出しへと入れておいたそれを取りだしクラウドへと差し出す。 「はい、もう一つプレゼント」 「え?もう一つ?」 「マテリアはタイミングよく生まれたからからさ。もともとあげようと思ってたのはこっち」 「…開けてもいい?」 「どうぞ」 クラウドが包み紙を開けると中から出てきたのは… 「便箋?」 「そ。それでお袋さんに手紙書いてやって?」 「え…」 「たまには綺麗な便箋でさ」 笑顔で言うザックスにクラウドは堪らなく心が熱くなった。 とても暖かく優しいザックスの気持ちがクラウドの心をどこまでもほどいていく。 どうしてザックスはこうも暖かくいんだろう、どうしてこんなにも自分と言う解りにくい人間を理解してくれるんだろう… こんなにも胸いっぱいな想いをどう伝えたらいいのか分からない。だけどこの嬉しさを伝えたくて伝えたくて… 「ザックス…」 「ん?」 「ありがとう」 ザックスの視界に広がるのは眩しくて目を細めてしまう程のクラウドの笑顔… 今日はクラウドの笑顔がたくさん見ることができた。 ザックスがいつも求めているのは、守りたいものはこの笑顔。 絶えさせたくない大切なキミの…笑顔。 見たいもの (いつも笑顔でいてほしい) (キミの笑顔は俺が守る) Happy Birthday CLOUD end. [*前へ] |