空にうつるもの
ー2
沈黙が流れる…。
この男は相変わらず何も言わない。
ただ、この雰囲気が嫌ではないのが不思議だ。
この男の行動は、今までの奴とは違い、まったくつかめない。
何も言わないくせに、俺の隣にいる。
だから俺も、ただ空を見ていた。
ーー・・・ーーー・ー
……アイツの、
……アイツが好きだった空を………………。
ーー・・・ーーー・・ー
ードサッ
突然、何かが倒れる音。
視線をやると、この男が寝転がった音のようだった…。
ースーウ スウー スウー
しばらくすると、寝息が聞こえてくる。
あどけない寝顔。
つくづくこの男の行動が分からない。
今度は突然、寝始めたのだから……。
こんな男、俺の近くにはいなかった。
見たことはないが、この辺のやつなのか?
俺は少し、この辺では有名だ。
この辺一帯の一番に位置する、族の総長。
………俺がやりたかった訳ではないが………。
そんなこともあり、俺の顔を見て逃げる奴、怖がる奴、媚びる奴、妬む奴はたくさん見てきたが、……この男はその、どれとも違う。
不思議だ……。
平凡そうなこの男に…、少し興味が湧いく。
「おまえは、いったい…………。」
しばらくの間、コイツの寝顔を眺めていた……。
[*欠月][満月#]
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