[携帯モード] [URL送信]

空にうつるもの
ー2




沈黙が流れる…。



この男は相変わらず何も言わない。



ただ、この雰囲気が嫌ではないのが不思議だ。



この男の行動は、今までの奴とは違い、まったくつかめない。



何も言わないくせに、俺の隣にいる。



だから俺も、ただ空を見ていた。



ーー・・・ーーー・ー


……アイツの、


……アイツが好きだった空を………………。



ーー・・・ーーー・・ー



ードサッ




突然、何かが倒れる音。



視線をやると、この男が寝転がった音のようだった…。



ースーウ スウー スウー



しばらくすると、寝息が聞こえてくる。



あどけない寝顔。



つくづくこの男の行動が分からない。



今度は突然、寝始めたのだから……。



こんな男、俺の近くにはいなかった。



見たことはないが、この辺のやつなのか?



俺は少し、この辺では有名だ。



この辺一帯の一番に位置する、族の総長。




………俺がやりたかった訳ではないが………。



そんなこともあり、俺の顔を見て逃げる奴、怖がる奴、媚びる奴、妬む奴はたくさん見てきたが、……この男はその、どれとも違う。


不思議だ……。



平凡そうなこの男に…、少し興味が湧いく。




「おまえは、いったい…………。」




しばらくの間、コイツの寝顔を眺めていた……。




[*欠月][満月#]

9/35ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!