空にうつるもの
2
『ふぅ。』
―シャッ
カーテンを開けると日差しが入り込んできた。
ここは静かな住宅街。
そこまで街って感じじゃないけど、田舎って感じでもない。
静かでゆったりと流れる時間は嫌いじゃない。
この場所に決めて正解だったようだ。
日差しが心地良い…。
『そろそろ日も暮れる。お腹もすいたし…、ご飯でも作るか。』
―シャッ
―パチ
カーテンを閉めて電気を付ける。
それから料理の準備に入った。
ーー・・―――・ー
―ジュー・・ジュー・・
コンコンコン...カチャ..
料理は得意だ。
昔、必要にかられてやるようになってから、得意になった。
最初に作った卵焼きは焦げ焦げで、少し泣きそうになったのを覚えてる。
それでも父さんは、嬉しそうに残さず食べてくれた。今でもあの顔は、忘れられない。
それからは、必死に本やインターネットで勉強して、美味しいものを食べて貰おうと頑張った。
今では、残りもので料理できるほど、慣れたものだ。
―コトッ
『ふぅ。完成。』
こう、昔のことを思いだしてしまうのは、…………寂しいからだろうか。
慣れない環境はやっぱり戸惑ってしまう。
『今日は疲れたし、早く風呂入って寝るか。』
一人の家。
誰もいない場所。
『一人は慣れてる…。俺は大丈夫。俺は…大丈夫…。』
一人は……慣れてる。
[*欠月][満月#]
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